|
五輪のノルディックスキー複合の会場は標高1800メートルにある。いかにこの高地を克服するか、がメダル獲得のカギを握っている。そこで日本オリンピック委員会(JOC)では、医科学を結集した高地対策に着手している。
昨季から複合全日本チームの海外合宿、W杯にはJOC専任スポーツドクターで内科が専門の大西祥平・慶大助教授(49)が帯同している。大西助教授は長野五輪で米国スキーチームの30%の選手が、運動誘発性のぜんそくにかかっていることに着目。これが距離のパフォーマンス低下の一因ではないかと考えた。
複合の五輪代表内定メンバーの中にも、標高2100メートルのオーストリア・ラムソー合宿の距離練習で息苦しさを感じた選手がいた。大西助教授は「高地で冷たい空気を吸うと、気管支が刺激され、ぜんそくになる。この症状が表れると肺機能が10%前後低下する」と言う。酸素が十分に吸えず、急激に走れなくなる。さらに、練習も満足にこなせない。大西助教授は「これは運動に伴う病気」と、試合前の吸入薬の使用に踏み切った。ドーピングの問題は事前に国際オリンピック委員会(IOC)に申請を出すことでクリア。成田収平ヘッドコーチ(37)は「ぜんそくの症状が治まり、タイムが伸びた選手もいた」と話す。
過去の合宿で採取したデータから1800メートルの高地に順応するには、10日間は必要なことも分かった。そのため、複合陣は1月下旬から、標高2100メートルの米国スティームボートスプリングズでトレーニング。その際、大西助教授は酸素ボンベを持ち込む予定だ。フィンランド・バイアスロンチームが行っている疲労回復法で、これを背負い、酸素を吸いながらクールダウンする。奇抜ともいえる方法で本番の五輪に備える。【小林明央】
|