|
一夜にして、ドイツの国民的英雄になった。スキー・ジャンプのスベン・ハンナバルト(27=写真)だ。年末年始の欧州ジャンプ週間(兼W杯)で4戦完全制覇。今回で50回目を迎え、伝統と権威を誇るジャンプ界の一大イベントで、史上初の快挙だった。
ドイツ国内での熱狂ぶりは、日本人には想像もつかないほどのものだった。シュレーダー首相は、試合後すぐに祝辞をファクスで送った。テレビ各局のニュース番組はトップ、新聞各紙も第1面で扱った。「追っかけ」も大量発生。ジャンプ週間後は連日、宿舎に100人以上の女性が群がっている。
名声だけではない。ドイツスキー連盟などから、1勝につき500万円、さらに総合優勝のボーナスとして600万円、ドイツチームのスポンサーの自動車メーカーから500万円が支払われた。国際スキー連盟(FIS)のW杯優勝賞金と個人スポンサーの分を入れると、賞金総額は億を超えた。
昨季までW杯4勝。ジャンプ強国ドイツでは、目立つ選手ではなかった。スポットライトが当たるのは、総合優勝2度のシュミットばかり。対照的にハンナバルトは一時、過度な減量による拒食症で低迷した。もともとパワー型が多いドイツの中で、飛型が美しいテクニシャン。今季は拒食症も治り、本来の技術を発揮できるだけの体力が戻った。
身辺は一変したが、本人は「これでスキー人生が終わったわけではない。2月には五輪も控えている」といたって冷静だ。ジャンプ週間総合覇者は、その直後の五輪でも84年サラエボ大会から5大会連続で金メダルを獲得している。ソルトレークシティーでも、このシンデレラボーイが金メダル候補の最右翼なのは、間違いない。【小林明央】
|