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「僕のキャラクターを間違えたんですよ、絶対」。フィギュアスケートの竹内洋輔(22=法大)は、そう言って笑った。フリー演技「ターザン」の振り付けのことだ。
2年前、世界的に有名なコーチ、タチアナ・タラソワ氏のもとへビデオを送りつけ「押し掛け入門」した。昨春、大事な五輪シーズンの演技を決める段になって驚いた。振り付けスタッフのニコライ・モロゾフ氏から、アマチュアでは珍しいコミカルな演技を提示されたのだ。
ゴリラや鳥など、さまざまな動物のアクションがちりばめられている。まったく経験したことのないプログラムだった。「本当は重厚というか、きれいな演技をやりたかった」。しかし、文句は言えない。とりあえず挑戦してみた。
これが見事にはまった。竹内はもともと、演技中に背中が丸くなる欠点がある。それが動物の動きを演じることで消された。それに人気映画の音楽を使用することで、初めて竹内を見る欧米の観客からも注目されるようになった。世界トップの振付師は、先を見越していた。
昨年11月のスケート・カナダで披露したときは、会場が笑いと歓声に包まれた。順位は8位だったが、存在をアピールすることには成功した。ここで得た自信が、五輪代表権をかけた全日本選手権での逆転優勝につながった。
4歳から通ってきた新松戸のリンクが、今月6日で閉鎖された。今は氷もなくなり、壊されるのを待つだけだ。「本当につらい。でも、よくここまでもってくれた」。竹内を五輪に送り出すことでその役目を終えた。リンクの先輩、後輩の期待もひしひしと感じている。
先日テレビでプロのショーを見ていたら、驚いた。「あのキャンデロロがターザンをパクってたんですよ!」。世界一のエンターテイナーも認めた演技は、五輪の観衆を大いに沸かせるに違いない。【高宮憲治】 |