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自称「応援団長」
山田直稔

“参加”迷う75歳「日の丸おじさん」

 羽織はかまで日の丸を振る。山田直稔(なおとし)さん(75)は「日の丸おじさん」として、すっかり五輪でおなじみになっている。自称「国際オリンピック応援団長」。名刺にもそう書いてある。東京からシドニーまで10大会連続で「参加」してきた。当然今回のソルトレークシティー大会も?

 ところがちょっと困ったことになっている。

 「いやあ、会う人みんなに『団長!ソルトレークも頑張ってよ』なんて言われちゃってさあ」。正月に届いた約1000通の年賀状にもほとんど、五輪での活躍を願うメッセージが添えられていた。だれもが五輪の応援=山田団長と錯覚しているが、冬季大会はこの限りでない。日本で行われた長野五輪こそ会場に出向いたが、基本的には夏季大会だけの「出場」なのだ。

 まだ「欠場」を決めたわけではない。だが、いくつかの障害もある。まず体力面。75歳に寒さはこたえる。次に金銭面。応援するとなれば、副団長らサポートメンバーも自費で連れていく。また、冬季は夏季に比べて、ジャンプ競技など会場が広すぎて応援がしづらいとか。サッカーW杯やアテネ五輪に資金とエネルギーを蓄えておきたい気持ちも強いという。

 だが、応援が選手に与える影響は少なくない。山田団長は72年ミュンヘン五輪の男子バレーボール金メダルは、声援があってこそだといってはばからない。「世界中でね、開催国の国旗を持っていくのは私だけ。そうすれば、地元の人も日本を応援してくれるでしょう?

 そういうことにだれも気づかないんだよ」と山田団長。確かに、国籍を問わず観客をのせるコツは、なかなかまねできない。今後、周囲の声がさらに盛り上がれば、ソルトレークシティー行きを決断するかもしれない。名物おじさんは、大会を目前にして迷っている。【佐々木一郎】

◆山田直稔(やまだ・なおとし)1926年(大正15年)4月16日、富山県井波町生まれ。日大工学部卒業後、ワイヤロープ業界に入り、60年(昭和35年)に「浪速商事」(東京・江東区)を設立。現在はホテル業、不動産業などの会社の社長。東京五輪から応援を始め、いつしか「団長」と呼ばれるようになった。

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