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五輪出場には金(かね)もかかる。日本女子ボブスレーの第一人者、羽栗尚美(32)は、4年前の冬に競技を始めて以来、1000万円以上をつぎ込んできた。「これだけお金をかけているんだから、その分は取り戻したい。大変だと思うのでなく、それだけいい遠征にしようと思います」。マイナーゆえの悲哀を、競技へのエネルギーに変えている。
1200〜1300メートルのコースを最速130キロで滑り降り、氷上のF1といわれるボブスレー。唯一の武器である「そり」は、重量が200キロ以上に達する。新車を買えば約250万円。そりにつくランナー(刃)は2本1セットで約60万円。これをパイロット1人で負担する。
男子のように費用を負担してくれる企業はない。本場欧州なら国が購入する場合もある。羽栗はかつて、大阪連盟のそりに乗っていた。だが「自分の体に合った設定ができるし、微妙な感覚をつかみたい」という理由で、自費購入に踏み切った。男子代表の鈴木寛(グローバリー)が乗っていた中古を安値で譲り受けた。
現在はW杯転戦のため、欧州に遠征中。そりを船で運んだ昨季は、輸送料として60万円かかった。遠征費は一部を除いて自己負担。長野五輪の会場にもなった「スパイラル」は、1回滑るだけで4000円。1日4回滑り、10日間も合宿すれば、滑走代だけでも16万円かかる。昨季は約400万円の持ち出しになった。
本職は、京都市内の第一岡本病院で働く看護婦。夜勤明けに寝ないでトレーニングすることも珍しくない。給料は普通のOLと変わらない。借金はないが、余裕もない。来春には結婚を予定し、競技はソルトレークでひと区切りつける。確かに金はかかる。だが、金で買えないものをつかむため、覚悟を決めている。【佐々木一郎】
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