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1度聞いたら、忘れない名前だ。日系2世の米国代表、アポロ・オーノ(19)。昨季、圧倒的強さで初のW杯総合王者に輝いた。スピードはもちろん、相手を抜いていくアクロバティックな技術には目を見張るものがある。
先月下旬に行われた五輪予選会でも、初日の1500メートルで優勝をさらった。「今季も強い」と印象づけたレース。しかしその裏には、半年間にわたる故障との格闘があった。
今年3月、長野・野辺山で行われた世界チーム選手権で、背筋を2カ所断裂していた。しかし、直後に行われた韓国での世界選手権も強行出場。負傷を悪化させてしまった。7月まで、腰を曲げることすらできなかった。リンクに立てない。11歳でスケートを始めてから初めての体験だった。
ようやく完治に近づいた9月。今度は右足をねんざした。上り坂を走っていた時だった。またも2週間の休養を余儀なくされた。五輪予選会も、完調には程遠かった。それでも勝った。父幸(ゆき)さんは「メンタルを鍛える、いい機会だった」と話す。「五輪は精神面が50%。体力だけでは勝てない。アポロにとって試練でした」。二人三脚で金メダルを目指してきた父だけが、レースの意味を理解していた。
94年リレハンメル五輪のショートトラックをテレビで見た時、父と子は「これだ!」と声を上げた。水泳とローラースケートで秀でた才能を示していたオーノが、氷の王者を目指した瞬間だった。史上最年少の14歳で代表チーム入り。わずか3年で全米NO・1に駆け上がった。
アポロは、「人々を導く者」という意味のギリシャ語から取った名前。天才スケーターは、最愛の父を世界の頂点に導こうとしている。【高宮憲治】
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