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カーリング女子代表の中に、笑顔の中年男性がいる。ナショナルコーチの日系3世カナダ人のフジ・ミキ氏(60)。ゆっくりした日本語で「メダル、狙えるよ」と気さくに話す。
カーリング強国カナダでも特に競技が盛んなバンクーバーのトップチームを指導。世界ジュニア選手権優勝メンバーも育てた。敏腕ぶりは広く知られているが、カナダ代表の指導には関心を示さない。ただ、日本からのコーチ要請は快く引き受けた。「私は日本人です。日本人が好き」とだけ理由を話した。
日本の指導は、99年に敦賀信人(24)率いる男子チームを教えたのが最初だった。当時はカナダ―日本の旅費など必要経費程度の報酬で引き受けた。実は、旅費すら自己負担しようとした。それだけ日本にこだわった。旧日本海軍が真珠湾を奇襲した1941年に、バンクーバーで生まれた。戦争で苦労しただけ、祖国を思う気持ちは強い。
長野五輪で日本は男女ともに5位だった。現代表は、初めて世界選手権の出場を逃した。五輪メダルへの道のりは険しい。しかし、ミキ・コーチは巻き返しを信じている。「カーリングはフィール&タッチ。体が小さくても神経の細かい日本人向き。テロの影響で10月の米国合宿ができず、調整が遅れた。バランスのいいチームだから、鍛えれば強くなる」という。
本業の自動車関係の仕事を5カ月間休職して五輪に臨む。「奥さんにカーリングのバカたれって言われたよ」と笑う。でも、選手の評判は「攻めも、守りも作戦面が広がった。日本語で一生懸命教えてくれるから親しみやすい」と上々。漬物とみそ汁が大好きなおじさんの情熱は、着実に祖国に染み込んでいる。【嶽岡晃樹】
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