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ボブスレー日本代表の井上将憲(29=東雪工業、写真)は、極端な増量作戦で五輪シーズンに突入した。ここ1カ月半で、13キロも体重を増やした。夏場は110メートル障害の陸上選手として85キロ前後をキープ。97年の日本選手権を制したほどのトップアスリートだが、冬場はボブスレー選手として、98キロの肉体に変身した。この体こそが井上の武器になる。
ボブスレーは4人乗りの場合、選手とそりの総重量が630キロ以内と定められている。重い方が速度が増すため、そりには制限以内で重りをつける。自分の体重が重ければ、スタートで押す重量が少なくてすむ。つまり、体重が重く、速く走れる選手が必要になる。井上は通常1日3食のところを、陸上のシーズン終了と同時に5、6食に増やした。
「太るだろうと思われることはすべてやりました。夏は(栄養の)バランスを気にしますけど、今はむちゃをしています」。ある日、牛丼店で並盛りと特盛りを同時に注文すると「もう1人のお客さまは?」と不思議がられた。「並をおかずに特盛りを食べました。肉は1日3回食ってもあきないんですよね」と豪快に笑った。
プロテインの摂取も、常人はまねできない。通常、牛乳などにとかして飲むが、井上は違う。粉を3杯口に突っ込み、飲料を流し込む。血液検査をしたところ、痛風の患者と同等の数値が出た。だが、トレーニングをしながら太ったため、体脂肪率は変化なし。並外れた体力を持つ井上にしかできない荒業だ。
決して褒められた増量作戦ではないが、それだけ五輪にかけていることの表れでもある。現在は、W杯転戦のため、欧州に滞在中。「そのうち100キロオーバーにいきたいですよね」。食が細くなりがちな海外でも、勝つために食って食って食いまくる。【佐々木一郎】
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