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やっかいな道具だ。スケート靴のブレード(刃)。確実に氷をとらえるため、選手は細心の注意を払ってミリ単位の調整をする。レースの成否がかかっていると思えば、睡眠時間を削ってでも磨く。
ショートトラックの第一人者、寺尾悟(26=トヨタ自動車)は、その大事なブレードを「究極の速さを目指して」11月末に交換した。冒険ではない。タイムを競うロングトラックと違い、この競技は接触がつきもの。刃と刃がぶつかり、傷が付く。そのたびに磨いていくが、徐々にエッジやロック(接氷部分の前後方向の湾曲)を調整しきれなくなる。だから定期的に新しい刃を導入しなければならないのだ。
エッジの調整には、大会の経験が必要だ。「本気で走らないと、刃の真価が分からない」からだ。「慣れ」も「新しさ」も必要。2月の五輪から逆算すると、この時期が適切というわけだ。ライバルの西谷岳文(22=メッツ)は、11月の全日本距離別選手権で新ブレードを投入した。
寺尾の“テスト大会”は、16日に終了したアムステルダムW杯だった。しかし「氷に砂が入って滑りにくい」状態で、好成績は残せなかった。刃の調整も完全とはいえない。それでも「逆に良かったと思う。ちょうどいい緊張感で終われたから」と前向きに話す。
今季海外遠征では、苦労が1つ増えた。テロの影響で、鋭利な金属であるブレードを機内に持ち込めなくなった。スーツケースに入れると、刃が曲がってしまう危険がある。寺尾は北米での大会前、東急ハンズで工具箱を買い、靴ケースを「自作」した。
29、30日の全日本選手権(東京)が、五輪代表最終選考会。「もちろん全種目(優勝を)狙っていきます」。今度は新ブレードが、強力な武器になるはずだ。【高宮憲治】
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