今、ジャマイカでは

 ジャマイカ代表のシモンエス監督(51)は、常に笑顔を絶やさない。マスコミやファンを問わず、だれが近づいても握手を交わし、会話をする。記念撮影にも嫌な顔一つしない。丸メガネに口ひげ、165センチほどの小柄な体で、監督特有の威圧感もない。このキャラクターが、サッカーに関心がなかった地元財界の関係者を引き付けた。

 ジャマイカ人ではなく、国民の90%を占めるアフリカ系黒人でもない。1994年に就任した白人のブラジル人監督は、周囲になじむのに時間がかかった。スポンサー主催のパーティーには必ず顔を出し、丁寧にあいさつして回った。その結果、これまでサッカーを見たこともなかった財界の首脳が、スタジアムに顔を見せるようになった。スポンサーの数は増え、代表強化のための資金は少しずつたまっていった。

 財界の期待にこたえる成績も残した。95年7月のトリニダードトバゴ戦以来、ナショナル・スタジアムでは負けていない。先月29日のスウェーデン戦で、30試合連続ホーム無敗を達成した。昨年のW杯最終予選では、ホームで3勝2分け。米国とメキシコに並ぶ好成績だった。さらに、最近5試合は無失点。地元で負けない代表から、スポンサーが離れることはない。

 同28日のあるパーティーで、シモンエス監督は「代表が活躍すれば、次世代の子供たちの健全な発育にも貢献できると思う」と話した。心はすっかりジャマイカ人になっている。

連載「夢、W杯」

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