代表選手の武器紹介

柳沢 敦

 柳沢(鹿島=写真)はこの日、新人とは思えないほどの滑らかな動きで走り回った。得点も奪ったが、動きそのものが良かった。「点はだれが取ってもいい。僕は得点シーンに絡んでいればいい」。自らのゴールに執着しないFW。言葉には「ゴールまでの動きで勝負」という考えがある。

 富山・大泉中時代、所属した「FCひがし」で、サッカーは頭ですることを学んだ。練習は週3日だが、チームの方針で欧州各国のゴールシーンを編集したビデオを繰り返し見た。あらゆる得点パターンが、頭にインプットされている。ボールの位置や、選手のいる場所で、ポジショニングや動き方がどう変わるかを学んだ。

 やみくもに走るだけではない。ただ相手DFと競り合うだけでもない。2手、3手先を読み、ゴールにつながるように動く。自分を殺してほかの選手を生かす。頭の中にある「ゴールへの道」が、無意識のうちに柳沢の体を動かしている。

 富山一高では、自らゲームメークして得点するシーンが目立った。しかし、鹿島入団後は中学時代に学んだことが実戦で生きるようになった。元ブラジル代表のマジーニ ョら、周囲のレベルが高かったからだ。チーム関係者は「今では、マジーニョを生かせるまでになった」と話す。

 元日の天皇杯決勝。ダメ押しの3点目がクローズアップされた。しかし、柳沢自身は自らのパスを起点にして、増田―マジーニョで挙げた2点目がうれしかった。マジーニョとのコンビで何度も横浜FのDFを崩したことを喜んだ。

 高さ、速さ、決定力、いずれもほかの「候補」に比べて傑出したものはない。瞬時に「ゴールへの道」を描き、実行する力。それが、柳沢の武器だ。

連載「夢、W杯」

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