世界で戦った「日本代表」からの 
アドバイス

中嶋悟(元F1ドライバー)

 ベテランをうまく使え。元F1ドライバーの中嶋悟氏(45)は言う。「若手は全体のことなど考えず、がむしゃらにつっこんでいかなければいけない。逆に、カズなんかは全体を通してベストになる戦い方をしなくちゃ」。試合を全体としてとらえる選手の必要性を話した。「試合の中では予想外のことが起きるもの。そういうときの判断は、経験がものをいう。教えられてできるものじゃない」。

 中嶋氏がF1にフル参戦したのは34歳の時だった。愛弟子の高木虎之介の24歳と比べて、年齢的に体力面のつらさは否めなかった。「だから、体を鍛える一方で、無駄に体力を使わない方法を考えたんだ」。イメージトレーニングでレースの時に使う筋肉まで把握した。「使う筋肉が分かっていれば、使わない部分は休ませることができる」。余分な肩の力を抜くことで、体力消耗を軽減した。ベテランでも十分に戦えた。

 現役時代、中嶋氏は「納豆走法」と呼ばれる粘り強い走りが定評だった。その走りは自分を知ることと、レース全体を読むことから生まれた。「300キロのレースだとしたら、それを走り切った時にだれが一番速いかなんだ。無理をして飛ばしてもリタイアしてはおしまい。最も重要な最後のゴールに向けて、引く場面だってあるはずだ」。

 己を知り、戦う土俵を知れば体力で劣るベテランでも勝負はできる。開始直後のスピードや、一瞬のテクニックも大切。しかし、それが最後まで続かなければ意味がない。これをできるのはベテラン。だからこそ、チームにもベテランが必要になる。最後まで戦うことができれば結果が残るということは、中嶋氏が身をもって証明している。

【竹内智信】

中嶋悟(なかじま・さとる) 1953年(昭28)2月23日、愛知県生まれ。73年にレースデビュー。75年からフォーミュラーカーに乗り、国内F2通算21勝。82年からは欧州F2シリーズに参戦。87年のブラジルGP、ロータス・ホンダでF1デビュー。日本人初のF1年間フル出場選手となる。F1全80戦で4位2回、5位2回、6位6回。91年、F1から引退。165センチ、54キロ。

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連載「夢、W杯」

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