日本のW杯初出場に、テレビ界は空前の放送態勢を敷く。独占放送権を持つNHKが開局以来の特番ラッシュを組めば、民放各局も大物芸能人をリポーターとして現地入りさせ、大会を盛り上げる予定だ。各局のW杯への取り組み方を連載する。1回目は6月14日の日本の初戦となるアルゼンチン戦でどの程度稼げるのか。伸びる要素はあるが、NHKは意外に慎重だ。 W杯全試合を衛星で中継するNHKは、日本戦だけは総合でも中継。スタッフ73人を送り込む万全の態勢だ。合計30時間を超える事前特番も用意する。日本は初出場。初戦のアルゼンチン戦の視聴率が注目されるが、盛り上がりと裏腹に、当事者のNHKは慎重に構えている。初めてのことで見当がつかないからだ。 サッカーで一番視聴率が高かったのは48・1%。1993年アジア地区最終予選の日本対イラク戦。NHK広報では「あのドーハの悲劇までいかないのでは」と、世間の注目度にも意外に慎重に話す。放送開始予定の午後9時30分ごろには日本テレビ「知ってるつもり!?」、テレビ朝日「日曜洋画劇場」などの民放番組と競合する。総合で視聴するだけでなく、90年イタリア大会から続く衛星放送で見る固定ファンがいるため、取り合いを予想する。大きくはこの二つをマイナス材料に考えている。 経済や文化などの動きを調査する電通総研の上條典夫研究一部長(41)も、視聴率50%は微妙としている。しかし、視聴率を伸ばす条件は満たしているという。(1)土・日に視聴率が高い(2)「時の人」がいる(3)サッカーの意外性。この三つを条件に挙げた。 ビデオリサーチ社が77年9月26日から1世帯複数台調査で開始してから、全局高視聴率番組ベスト50のうち26は土、日曜日の放送となっている。スポーツの視聴率ベスト10では、千代の富士が初優勝した81年初場所の52・2%(NHK)など、日曜の放送が六つある。週末のスポーツをテレビ観戦する生活様式が根付いている。 さらにMF中田など若年層のヒーローが、10〜20代の視聴者を取り込むはず。それに40〜50代も共通の話題を持とうとして見る。まして、96年アトランタ五輪では、日本がブラジルを1―0で下す大金星。W杯優勝、準優勝各2回のアルゼンチン相手に、「もう一度」との期待もあるとみている。 民放やその他のマスコミも含めて、日本中で今年一番の関心事。NHKの心配をよそに、視聴率は伸びるかもしれない。 【サッカー取材班】
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