原動力は「格好悪いこと嫌」
W杯初出場を決めた11月16日のイラン戦。岡野のVゴールが決まった後、岡田監督を中心に歓喜の輪ができた。2枚の日の丸を前にして、選手団が全員で記念撮影をした。カズ、井原、北沢、城……。一人だけ選手がいない。中田だった。記念撮影が始まると、列の背後に回り、カメラに写らないようにしゃがんだ。感情をおもてに出さない男。うれしいときも悲しいときもクールな顔。「あいつ、喜んでるよ」と思われたくない。外見を異常なまでに気にする性格が、中田のサッカーの源にはある。
9月28日の韓国戦。中田は後半7分、相手DFを左肩ではじき飛ばして中央を突進。右サイドを上がった名良橋にロングパスを通している。岡田監督が求めている闘争心を持っている。観客に「あいつ、競り合いで負けてるよ」と思われたくない。負けたくないから、ボールに執着する。相手に取られると、取り返すまで追いかける。自陣まで戻ることも多い。キラーパスばかりが注目されるが、守備意識の高さも特徴の一つ。「守備は嫌いなんでね」(中田)。口癖になっているこのセリフも、守備ができているから言える。
外見を気にする性格は、私生活にも及ぶ。「サッカーしかできないヤツ」と思われたくない。昨年1月にイタリアへ短期留学し、言葉の壁を痛感。遠征には、英会話の本を持っていくようになった。引退後も生活に困らないように、税理士試験の勉強も始めた。今世紀中には資格を取得できる見込みだ。「今より稼げる仕事があるなら、サッカーをやめたっていい」。中田税理士のデビューは、意外に近いかもしれない。
W杯最終予選での活躍で、CM出演の依頼が殺到しているが、次のような理由で断っている。「来年のW杯の直前は、日本代表選手がCMを独占するようになる。どこのチャンネルを回してもJリーガーばかり……。僕はそんな格好悪いことはしたくない」。どこまでも外見を気にしている。
【サッカー取材班】
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