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大統領選の 前哨戦だった
フランス大会の四つの代表の座を決定する9カ国による総当たりリーグ戦の南米予選は、96年4月にスタート。エクアドルはホームグラウンドでペルーを4―1、ブラジル、ウルグアイとともに南米ビッグ3と呼ばれW杯で過去2度優勝しているアルゼンチンを2―0と連破、国中が夢の本大会初出場への期待で沸き上がりました。 3連勝なるかどうかのチリ戦は7月7日の予定だったのですが、その日は大統領選挙の決選投票と重なってしまいました(5月の第1回投票で決着しなかったため)。混乱を恐れた政府の要望で、試合は1日繰り上げて6日に実施されることになりました。 地元の世論調査会社は「選挙は、チリ戦の結果次第。エクアドルが勝てば前政権の政策を継承するネボト、負ければ民主主義者のブカラン」という大胆な予想を発表。エクアドル―チリ戦は大統領決選投票の前哨戦と見なされてしまったのです。 試合はアウエーのエクアドルが1―4で完敗。では選挙は――。大胆予想通りでした。ブカラン候補が、第1回投票1位のネボト氏を下し当選したのです。 ところで、W杯予選はその後どうなったのでしょうか。エクアドルは地元では強いのですが、敵地で黒星を重ね最終成績は6勝3分け7敗の6位。南米代表の座に就いたのはアルゼンチン、パラグアイ、コロンビア、チリの4カ国でした。 鈴木 武士・フリーライター ◆エクアドル共和国 南米大陸北西部に位置する。面積約27万670平方キロ(日本の約4分の3)、人口約1146万人(同11分の1)。首都はキト。1819年にグランコロンビア共和国としてスペインから独立、30年に分離独立した。主な産業は石油、農業など。 ◆鈴木武士(すずき・たけし) 本名・奈良原武士。1937年(昭12)、東京生まれ。61年に共同通信社に入社。運動部記者としてサッカーのW杯などを現地取材。編集委員を経て、97年定年退社。フリーとなりサッカー、つりなどの原稿を執筆。著、編、訳書に「ワールドカップ物語」(ベースボール・マガジン社)、「日本サッカー協会75年史」「ペレ自伝」(講談社)などがある。 |