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1929年生まれのカルバハル選手は50年ブラジル、54年スイス、58年スウェーデン、62年チリ、66年イングランドと実に5大会に出場、メキシコのゴールを守り続けました。 カルバハル選手が「5回」の大記録を作れたのは、メキシコが北中米カリブ海地域代表の常連だったからです。 そのメキシコが74年西ドイツ大会地域予選で、6カ国による最終ラウンドへ進出しながらトリニダードトバゴに0―4の思わぬ大敗を喫し、代表の座をハイチに奪われてしまいました。7回連続出場の記録を断たれてしまったのです。 サッカーに夢中のメキシコ人のこと。国中がヒステリックなまでに嘆き悲しんだのは言うまでもないのですが、ある記者は早速、国際空港の税関吏の感想をとりに駆けつけました。 そのコメントは――。 「当然、勝つと思っていたよ。ハイチ、トリニダードトバゴに次いで3位なんて想像もしていなかった。もう頭にきた。こうなったら(今まで甘くしていた)荷物検査を徹底的にやるぞ。あいつらはいつも(禁制品を含む)大荷物を抱えて帰ってくるんだ。役員だろうが、選手だろうが容赦はしない。靴下の中まで調べあげてやる」。 それにしても、サッカーチームが外国で負けたからといって、税関吏を取材するなん て私たちには考えられない反応です。 鈴木 武士・フリーライター
◆メキシコとW杯 2大会連続11度目の出場。今回はオランダ、ベルギー、韓国と同じグループEに属する。予選成績は8勝6分け2敗。70、86年のベスト8が最高。前回はベスト16。30、50、54、58、62、66、78年は1次予選落ち。 ◆鈴木武士(すずき・たけし) 本名・奈良原武士。1937年(昭12)、東京生まれ。61年に共同通信社に入社。運動部記者としてサッカーのW杯などを現地取材。編集委員を経て、97年定年退社。フリーとなりサッカー、つりなどの原稿を執筆。著、編、訳書に「ワールドカップ物語」(ベースボール・マガジン社)、「日本サッカー協会75年史」「ペレ自伝」(講談社)などがある。 |