| 「ウーベ・ゲルト…」西独版「寿限無」 | ||
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ご存じ落語の「寿限無(じゅげむ)」に登場する長々しい名前です。 1970年のメキシコ大会を前に西ドイツのケルンに住む植木屋さんが、大会後に生まれる予定の子供を男の子と信じ込み、その名前を早々と決めてしまいました。 「ウーベ・ゲルト・フランツ・ゼップ・ウォルフガング・カールハインツ……」。 寿限無の西ドイツ版というわけですが、念のためご説明しますと、西ドイツ代表選手11人のファーストネーム(一部省略)を列挙したものです。ウーベは闘将ゼーラー選手、ゲルトは同大会得点王に輝いたミュラー選手、フランツは“皇帝”ベッケンバウアー選手、ゼップはGKマイヤー選手、ウォルフガングは左足の芸術家オベラート選手、カールハインツは金髪の人気DFシュネリンガー選手の名前です。 「優勝したら生まれてくる男の子に絶対この名前を付ける」と誓っていた植木屋さん。では、西ドイツが54年以来2度目の世界チャンピオンを狙った大会の結果は――。 1次リーグを3戦全勝で突破、準々決勝は前回のイングランド大会決勝で延長の末、涙をのまされたイングランドとの対決でしたが、今度も延長戦にもつれ込んだ接戦を3―2でものにしました。 準決勝の対イタリアはW杯史上最高のゲーム、といまだに語り継がれている壮絶な延長戦。だが、しかし、西ドイツは3―4の敗北を喫し、ケルンの植木屋さんの誓いは実現しませんでした。 鈴木 武士・フリーライター
◆70年メキシコ大会 ペレを擁するブラジルが、6戦全勝で3度目の優勝を飾った。得点王は、10点をマークしたミュラー(西ドイツ)。同大会から初めてイエローカードとレッドカードが使用されたが、退場者ゼロというクリーンな大会だった。 ◆鈴木武士(すずき・たけし) 本名・奈良原武士。1937年(昭12)、東京生まれ。61年に共同通信社に入社。運動部記者としてサッカーのW杯などを現地取材。編集委員を経て、97年定年退社。フリーとなりサッカー、つりなどの原稿を執筆。著、編、訳書に「ワールドカップ物語」(ベースボール・マガジン社)、「日本サッカー協会75年史」「ペレ自伝」(講談社)などがある。 |