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サッカーの生みの親、イングランドはそれまでW杯に背を向けていたのですが、46年に国際サッカー連盟(FIFA)との仲たがいが解消し、地域予選を勝ち抜いてブラジルへ乗り込んできました。 イングランドは49年9月、アイルランドに0―2で敗れた後、50年5月までウェールズ、北アイルランド、スコットランド、イタリア、ポルトガル、ベルギーを打破し6連勝中でした。チームにはのちにサーの称号を贈られたスタンリー・マシューズら大選手がそろっており、6月24日開幕の大会では地元ブラジルと並ぶ優勝候補でした。 米国の方は欧州、中米などからの一流とはいえない選手たちの寄せ集めチーム。米国が勝つなんて、信じられません。イングランド―米国戦は「野球なら大リーグと草野球チームの組み合わせ。お笑い草のカード」とまで言われたものです。 でも、米国勝利は誤報ではなかったのです! 奇跡が起きたのです。守勢一方の米国がハイチ出身のラリー・ガエトヘンス選手のゴールで、1―0の白星を飾ってしまったのです。イングランドはこの黒星がたたり決勝リーグに進出できず、米国は「実力」通り後の2試合を完敗し1次リーグ落ちしました。 米国の「不可解な勝利」は「世紀の番狂わせ」としてサッカー史に残ったのですから、ニューヨークの編集者が信じようとしなかったのは無理もないですね。 鈴木 武士・フリーライター
◆米国のW杯 第1回ウルグアイ大会をはじめ本大会に5回出場した。最高成績は第1回大会のベスト4。地元開催の94年米国大会は、コロンビアを破って決勝トーナメントに進出した。1回戦で優勝国ブラジルに敗れたが、0―1と健闘した。 ◆鈴木武士(すずき・たけし) 本名・奈良原武士。1937年(昭12)、東京生まれ。61年に共同通信社に入社。運動部記者としてサッカーのW杯などを現地取材。編集委員を経て、97年定年退社。フリーとなりサッカー、つりなどの原稿を執筆。著、編、訳書に「ワールドカップ物語」(ベースボール・マガジン社)、「日本サッカー協会75年史」「ペレ自伝」(講談社)などがある。 |