序盤もたつくイタリア怖い

ワールド杯エピソード
  [目次]    【18】
 イタリアのフランスへの道は決して平たんではありませんでした。地域予選ではプレーオフでロシアを破り、ようやく1998年大会の出場権を獲得したのです。

 イタリアのW杯での足跡、特に70年以降は決勝ラウンドへ進んでからの強さと、序盤での大苦戦との落差が大きいのに驚きます。計算ずくなのでしょうが、不思議な戦い方をするチームです。

 まず70年メキシコ大会1次リーグです。0―0ウルグアイ、1―0スウェーデン、0―0イスラエル、得点わずか1でベスト8を確保、準々決勝の対メキシコは4―1の快勝、準決勝は強敵西ドイツに4―3の勝利。決勝はブラジルのファンタスティックなサッカーに敗れましたが、そのプロ根性のすごさを強烈に印象づけられたものです。

 94年米国大会は0―1アイルランド、1―0ノルウェー、1―1メキシコで第5組3位。辛うじて1次リーグを通過すると、ナイジェリア、スペイン、ブルガリアを連破して決勝戦に顔を出し、ブラジルと0―0の大接戦を繰り広げたのです。結果はPK戦で負け、惜しくも2位に甘んじました。

 ハイライトは82年スペイン大会です。0―0ポーランド、1―1ペルー、1―1カメルーンと1次リーグ第1組で3分けの成績。カメルーンも3分けでしたが、総得点は1点だけ、計2点のイタリアは2位を射止め、2次リーグ(準々決勝リーグ)で難敵ブラジル、アルゼンチンと戦う権利を得たのです。ここで大変身。絶好調のブラジル、マラドーナのアルゼンチンを見事に打倒、準決勝はポーランドに圧勝、決勝の西ドイツにも3―1の会心の勝利、3度目の優勝を飾りました。

 今度のフランス大会序盤戦で、万一もたついたとしても注目し続けなければならないチームです。

鈴木 武士・フリーライター

 ◆フランス大会予選欧州地区プレーオフ 昨年11月、ロシアとイタリアは本大会出場をかけ、ホームアンドアウエー方式で対決。イタリアはロシアで行われた第1戦で1―1の引き分け。地元での第2戦、後半8分のカシラギの決勝ゴールで10大会連続14度目の本大会出場を決めた。
 ◆鈴木武士(すずき・たけし) 本名・奈良原武士。1937年(昭12)、東京生まれ。61年に共同通信社に入社。運動部記者としてサッカーのW杯などを現地取材。編集委員を経て、97年定年退社。フリーとなりサッカー、つりなどの原稿を執筆。著、編、訳書に「ワールドカップ物語」(ベースボール・マガジン社)、「日本サッカー協会75年史」「ペレ自伝」(講談社)などがある。
ワールド杯メーン