ストライカー大記録一大会13得点

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 20世紀最後のスーパースター、ブラジルのロナウド選手が98年フランス大会で更新を狙う大記録があります。フランスの「爆撃手」ジュスト・フォンテーヌ選手が40年前のスウェーデン大会で樹立した、W杯史上にさんぜんと輝く一大会最多得点です。

 フォンテーヌ選手は1933年、モロッコ生まれの大柄で力強いストライカー。大会直前まで補欠の身でしたが、正選手の故障で脚光を浴びることになったのです。58年大会のフランスは「将軍」「ナポレオン」の尊称を持つレイモン・コパ選手が指揮官を務めるチームでした。下がり気味の位置でプレーする小柄なCFコパ選手は自らゴールを奪うシーンを見せはしますが、むしろ絶妙のテクニックを駆使して味方のシュートチャンスをつくる役割が光るプレーヤー。

 コパ選手が、フォンテーヌ選手の才能を存分に発揮させます。1次リーグ初戦の対パラグアイから、フォンテーヌ選手が相手DFを震え上がらせました。いきなり3ゴールをマークし不動のレギュラーの地位をつかむと、次のユーゴスラビア戦2ゴール、スコットランドとの第3戦で決勝ゴールと早くも6ゴールの猛威を振るったのです。

 準々決勝の北アイルランド戦もコパ、フォンテーヌ選手のコンビがさえ、エースストライカーの2ゴール含め4―0の完勝。決勝進出をかけたブラジルとの激闘は17歳のペレ選手にハットトリックをやってのけられ2―5で敗れたのですが、爆撃手はここでも1点をとり、いよいよ彼のゴールゲッター生活のハイライトを迎えます。前回の覇者、西ドイツとの3位決定戦で4点の大戦果を挙げ6―1の勝利のヒーローに、そして通算得点をいまだにダレも超えられないでいる13に伸ばしたのです。

鈴木 武士・フリーライター

 ◆58年スウェーデン大会 ペレのブラジルがスウェーデンに快勝して初優勝。フランスは過去9回出場して優勝はなく、この大会と86年に3位となっている。個人通算得点記録はゲルト・ミュラー(西ドイツ)の14ゴール(2大会)で2位フォンテーヌ13(1大会)3位ペレ12(4大会)。
 ◆鈴木武士(すずき・たけし) 本名・奈良原武士。1937年(昭12)、東京生まれ。61年に共同通信社に入社。運動部記者としてサッカーのW杯などを現地取材。編集委員を経て、97年定年退社。フリーとなりサッカー、つりなどの原稿を執筆。著、編、訳書に「ワールドカップ物語」(ベースボール・マガジン社)、「日本サッカー協会75年史」「ペレ自伝」(講談社)などがある。
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