イタリア戦を見逃すな

ワールド杯エピソード
  [目次]    【35】
 フランスのスポーツ誌が1998年W杯開幕1年前の特集で、史上最高の試合を選びました。ペレ、ミシェル・プラティニ(フランス)らかつてのスーパースター50人にアンケートして決定した1位の試合は、70年メキシコ大会の準決勝「イタリアー西ドイツ」。2位は同大会の決勝「ブラジルーイタリア」、3位は82年2次リーグの「イタリアーブラジル」で、いずれもイタリアが絡んでいます(筆者は3戦とも現場で取材する幸運に恵まれました)。

 「イタリアー西ドイツ」は、壮麗なアステカ・スタジアムを舞台に繰り広げられました。前半8分のイタリアの先制に始まり、ロスタイムに西ドイツが追いつき延長戦へ。延長前半4分にイタリア1―2西ドイツとなってからのゴールの取り合いがすごかったのです。2―2、3―2、3―3とスコアが変わる死闘です。同後半6分、イタリアのジャンニ・リベラのシュートで決着した4―3のゲーム。エキサイティングでドラマチック、サッカーの面白さを満喫させてくれた120分でした。

 2位の「ブラジルーイタリア」はペレとその仲間たちの芸術がイタリアを完全に圧し、4―1で史上最多の3度目の優勝を飾った決勝戦。観戦者から「ファンタスティック!」の歓声が上がる傑作でした。

 3位の「イタリアーブラジル」は、82年のベスト4決定戦です。中盤にジーコを軸とする「黄金の4人」を擁し、最も優れたチームと評価されていたブラジルをイタリアが点取り屋、パオロ・ロッシのハットトリックで3―2の白星をもぎとるとともに、3度目の優勝への重要なステップとした試合。華麗なブラジルに対し、イタリアがプロフェッショナルの勝利への執念をみせつけた一戦でもありました。

鈴木 武士・フリーライター (おわり)

 ◆W杯のイタリア これまで13度出場し、1962年チリ大会から9度連続出場している。通算35勝12敗(PK2敗)14分けで、勝率は・574。優勝は初出場となった1934年(イタリア)38年(フランス)82年(スペイン)の3度。前回94年米国大会と70年のメキシコ大会で準優勝。
 ◆鈴木武士(すずき・たけし) 本名・奈良原武士。1937年(昭12)、東京生まれ。61年に共同通信社に入社。運動部記者としてサッカーのW杯などを現地取材。編集委員を経て、97年定年退社。フリーとなりサッカー、つりなどの原稿を執筆。著、編、訳書に「ワールドカップ物語」(ベースボール・マガジン社)、「日本サッカー協会75年史」「ペレ自伝」(講談社)などがある。
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