自信があるから事実を語る−川口
1998年2月9日更新

 待望の「大型ゴール」が届いた2月3日、川口は告白しました。「実は、身長は179センチしかないんです。今年の登録は本当の身長でしようかな」。これまで、登録は181センチでした。新人の頃から「180センチある」と言い続けてきましたが、事実は違ったのです。

 GKにとって、身長は重要です。相手との空中戦、わずかな高さの違いが、大きなハンデになります。小柄なGKは、容赦ないハイクロスの嵐に攻め立てられます。身長は、両手を広げた長さとほぼ同じ。大きな選手がゴール前で構えれば、相手のFWに与える威圧感も抜群。小さければ、相手も精神的余裕を持ってゴールを狙える。体の大きさは、GKの必要条件でもあるのです。

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 小学校5年の時から、川口はGK一筋。当時は、体も大きかったのです。しかし、その後思ったほど伸びませんでした。負けず嫌いだから口にこそしませんでした。「GKに身長など関係ない」とまで言ってきました。しかし、悩んできたのは間違いありません。だからこそ、181センチと虚偽の申告をしてきた。

 川口は「攻撃的GK」と言われます。これもコンプレックスの裏返し。ゴール前に「ドーン」と構え、相手FWを1対1で威圧できるならいい。高さで圧倒できるならいい。それがないからこそ、「待つGK」でなく、前へ前へと「攻めるGK」になったのです。168センチのメキシコ代表カンポス、175センチのコロンビア代表イギータ。「攻撃的」なGKは、みな背が低いのです。

 現日本代表でも、小島が187、楢崎と岡中が185。しかし、川口は彼らを押しのけてW杯予選フル出場を果たし、初の本大会出場に貢献しました。自信もつきました。「低くても関係ない」と、心の底から思えるようになったのです。だから、「本当のこと」を口にできたのです。

 技術や体力はどうにでもなります。でも、体の大きさはどうにもならないのです。それに気づき、それを克服できたとしたら川口の強さは本物です。日本には「体が大きいから」と無理矢理GKを作る傾向がまだあります。でも、海外では違います。最も運動能力が高く、人気もあるのがGK。川口の活躍は「日本のGK像」まで変えてしまう可能性があるのです。

 守備範囲の広さ、キックの正確さなど、これまで日本のGKに足りなかったものを持っています。反面、課題もあります。ポジショニング、ミドルシュートへの反応。感情のコントロールも、決してうまいとはいえない。しかし、川口には将来があります。輝かしい未来があります。22歳。最も経験が必要とされるこのポジションで、本当に「名手」と呼ばれるのは30歳を過ぎてからです。

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