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やってきたカット
【6月19日付】
「熱さ」に気づき始めた仙台

 夢物語のはずだった。日本が1次リーグH組1位。宮城県民の多くは淡い期待を寄せることすら遠慮していた。むしろ予選で不振だったブラジル来県の方が現実的な話題だったかもしれない。だが、日本代表はやってきた。W杯開催地であることをだれもが誇りに感じる、そんな空気が一気に町中へ充満した。

 開幕の約1カ月前、仙台市にある日刊スポーツ東北支社では、宮城県民100人を対象にアンケート調査を行ったことがある。W杯よりプロ野球。活躍を期待する選手を問えば、代表入りしていない地元J1仙台の選手を挙げる人が多かった。「日本代表がどこまで勝ち進むか」という質問に80%以上の人が、ベスト16以上とあっさり答えた。

 「W杯が来るといっても、サッカーを知らない人が多いんだな」。アンケート結果を見て、当時は苦笑いを浮かべたのが思い返される。予想より期待。だが県民の予想は的中した。昨春、仙台育英のセンバツ準優勝にはじまり、ベガルタ仙台のJ1昇格、春高バレーの東北高優勝、イタリア代表のキャンプ実施。宮城県民は引きが強い。そして、スポーツへの愛着と関心がわき始めた土壌に、日本の決勝トーナメント舞台という幸運が巡ってきた。

 東北最大の100万都市といえど、プロスポーツは長らく縁がなかった。流行には敏感だが、熱狂には至らない。かつてプロ野球のロッテがフランチャイズを置こうとした際にも「県民性として厳しい」と反対されたこともあった。

 でも状況は変わった。スポーツの中心地になりえることを、県民だれもが肌で感じた。日本代表のおかげで内側に閉じこめていた「熱さ」を開放できることに気付いた。

 日本代表は敗れたが、W杯が地方都市に残した熱気は、今後も4年ごとに新たな力を与え続けてくれるだろう。【山下健二郎】


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