東東京大会1回戦で無情の双子対決
ついに、運命の夏がやって来た。安田学園の兄古松信彬(のぶあき)外野手(3年)と世田谷学園の弟義彬(よしあき)投手(3年)は、88年3月29日生まれの一卵性双生児。2人は12日の東東京大会1回戦(神宮)で対決するのだ。
「えっ、うそだろう?」。運命のいたずらは、6月18日に144校が参加して行われた抽選会で現実になった。巨人阿部を輩出した安田学園は昨年まで3年連続ベスト4で、今夏、悲願の甲子園を狙う。一方の世田谷学園は、93年にセンバツ初出場を果たしており、ともに強豪だ。今夏はともにノーシードながら、1回戦屈指の好カードともいわれる。両校の初戦対決だけでも、ちょっとした驚きだが、2人はもちろん、家族にとっても衝撃は計り知れなかった。
小学1年生の時に、長男の泰彬さん(21)の影響で野球を始めた。信彬と義彬は中学卒業までの9年間、常に同じチームで、時にはバッテリーを組んで活躍した。2人とも、血気盛んで試合中に「ちゃんと投げろ」「うるせーな」と野球が原因のけんかも多かった。進学を前に信彬は「今まで双子という存在でチーム内で比較され、注目されてきた。これからは別のチームで、1人の選手として評価されたい」と決意。世田谷学園に決めた弟と別れて、安田学園に進んだ。高校入学後は、それぞれの時間が多くなった。たまに顔を合わせると練習方法や試合相手の情報などを交換し合うようになった。自然とけんかはなくなった。
母美弥子さん(49)は抽選結果を聞いた時、「まさか」と頭が真っ白になった。父祐司さん(50)も「どうせなら決勝戦で対決が見たかった」と残念がった。勝負を決める場面で、控え投手の義彬と信彬が相対するかもしれない。どちらかが、最後の試合になる。両親は「試合は(応援席ではなく)バックネット裏で見守ります」と覚悟を決めた。
当人たちは「絶対に相手を倒して甲子園に行く」と、再び負けん気に火が付いた。独自の道を選んだはずの兄と弟は、皮肉にも、再び双子として注目される夏を迎える。【茶木哲】
[2005/7/9/12:42 紙面から]
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