高知赤字覚悟、混乱の甲子園入り!!
ぶっつけ本番で代替出場の高知が夏の甲子園に挑む。第87回全国高校野球選手権大会(甲子園)は今日6日、開幕する。不祥事で出場を辞退した明徳義塾(高知)に代わって出場する高知が5日夕方、約4時間かけて高知からバス移動で兵庫・西宮市の宿舎に入った。この日午前中、甲子園球場で行われた開会式リハーサルには間に合わず、「高知」のプラカード嬢だけが行進した。同ナインは4日に緊急集合し、この日も軽い練習をおこなして移動した。開会式もぶっつけ本番で臨み、大会5日目に東の横綱、日大三(西東京)と対戦する。
午後5時10分。前日まで明徳義塾が宿泊していた西宮市内の旅館に、高知ナインが到着した。約50人の報道陣が両側を埋める歩道を、やや疲れた様子で足早に移動した。
その後、午後7時すぎから、柳井正持・高知県高野連会長から中谷啓二主将(3年)に高知大会の優勝旗が授与された。明徳義塾の出場辞退により同校の優勝が取り消され高知に優勝旗が渡った。
すべてが過去に例のない事態。慌ただしい1日は午前8時45分のグラウンド整備から始まった。
1度は「引退」したはずの3年生は寮の食堂でユニホームとスパイクの採寸。7月24日の高知大会決勝で敗れて以来となる練習を始めた。昼食後、部員36人は午後1時に高知市内の同校をバスで出発した。中谷主将は「まだ戸惑いはあるが、高知にいる時と違って徐々に実感がわいてきた。1回気持ちが切れたが、また取り戻すことができそうです」と笑顔を見せた。
前日4日に、降ってわいたように24年ぶり10回目の甲子園出場が決まった。引退していた3年生30人が急きょ呼び戻され、遅れていた4選手も夜にはそろった。同校から80キロ離れた梼原(ゆすはら)町に帰省していた立道雄司選手(3年)は、両親が共働きで移動手段がなく集合が遅れた。袋に慌ててユニホームを突っ込んだ状態で、チームに合流した。
5日が18歳の誕生日だった山本幸征二塁手(3年)は、友人に誕生日を祝ってもらう予定だった。「祝ってもらえなくなった」とぼやいたが、甲子園出場が最高のプレゼントになったことは間違いない。
準備にかける時間もなければ、お金もない。甲子園出場には宿泊費や移動費、食費など合わせると約1000万円近くかかるといわれる。学校関係者は「赤字覚悟で甲子園に行きます」。高地弘泰校長(59)も「今朝から寄付金のお願いを始めたばかりで不足分だらけ。なるようにしかならない」と半ば、開き直ったように話した。関係者も様々な形で支援を申し出ている。同校OBの横浜土居龍太郎投手(24)からは「ボールを送る」と早速連絡が入った。また同校の応援名物となっている「鳴子」も学校側で準備できず、高知県庁大阪事務所が1000個を貸し出すことになった。
まだ混乱は続いているが、少しずつ戦える状態になってきた。今日6日には、第3試合終了後に、高知大会決勝以来、13日ぶりの全体練習を甲子園で行う。島田達二監督(33)は「まずは現在の選手の力を見たい。何とか県大会のレベルまで戻して持ち味である守りの野球を見せたい」。1度は終わった高知の夏が、再び始まった。【鳥谷越直子】
[2005/8/6/09:15 紙面から]
写真=宿舎で高知県高野連の柳井会長(左)から高知県大会の優勝旗を受け取る高知・中谷主将
|