大阪桐蔭・辻内KOも156キロ/高校野球
<全国高校野球選手権:大阪桐蔭9−7春日部共栄>◇3日目◇8日◇甲子園◇1回戦
先発した大阪桐蔭(大阪)のエースは一塁の守備位置で、ゲームセットを見届けた。日本球界の歴史を塗り替えながら、辻内は勝利投手にはなれなかった。「あのどよめきを聞いたとたん、心臓がバクバク言い出したんです」。試合後の取材通路で、苦笑いまじりに打ち明けた。
初回だ。春日部共栄(埼玉)の先頭・山口へのカウント2−2からの5球目。外角に外れたボールに、甲子園の電光掲示板には「152」の表示が浮かび上がった。さらにネット裏のオリックススカウトのスピードガンは、国内左腕最速の「156」をマーク。3万4000の観衆で埋まったスタンドがどよめいたのも、無理はない。だが球界の歴史を塗り替えた17歳の左腕は「(スピード表示は)見ないようにしていたのに、あの歓声で何かが起きてるなと分かって」緊張で固まってしまった。
2死から3番打者の左ひざにぶつけ、内角に投げられなくなった。2回に3失点。3回には相手4番の鶴岡に、ストレートを中堅スタンドまで完ぺきに運ばれた。5回途中6失点で、中田にマウンドを譲った。
アルプススタンドで父伸詞さん(47)も「いつもならマウンドで、もっとロージンバッグを取るのに…」と落ち着きのなさに気をもんだという。この日は緊張が「怪物」を縛った。試合後は日本最速球よりも「次、また試合ができる」とチームの勝ちを喜んだ左腕。次こそ「勝てるエース」を証明。辻内の夏は、始まったばかりだ。【堀まどか】
[2005/8/9/09:32 紙面から]
写真=156キロの快速球を披露した大阪桐蔭の辻内
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