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MLBオールスター2003
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松井、初打席初球初ヒット!ア・リーグが逆転勝ち

7回裏ア・リーグ2死、本塁打を放ったジアンビ(右端)を迎える松井(左端)らア・リーグナイン(撮影・川口晴也)

<MLB球宴ア・リーグ7−6ナ・リーグ>◇15日◇シカゴ・USセルラーフィールド

 【シカゴ(米イリノイ州)15日(日本時間16日)=飯島智則、広瀬雷太】周囲が輝いて見えた。ヤンキース松井秀喜外野手(29)が、初出場のオールスター初打席で初球を初安打。詰まりながらも左前へ運んだ。ただ、打席に入ってもほとんど拍手はないなど、すっかり脇役。少しばかり肩身の狭い立場で戦い、大きな刺激を受けた。マリナーズ・イチロー外野手(29)は無安打ながら2四球と好守で、存在感たっぷり。長谷川滋利投手(34)は4失点と打ち込まれた。試合は日本選手が所属したア・リーグが7−6で逆転勝ちした。

 松井の耳に、拍手は届いていなかった。舞い上がっていたわけではない。本当に拍手が少なかったのだ。2回裏2死。前打者マルティネスが死球を受け、打席が回ってきた。ルーキーの初登場というのに、まるでスタンドは盛り上がっていなかった。ファン投票3位での選出とはいえ、登場だけで球宴スタンドを沸かせる選手ではない。それは、誰より松井が分かっていた。

 初球、内寄りの速球をたたいた。球威に負けて差し込まれながらも、打球はフラフラと左前へ落ちる安打となった。3月31日のメジャーデビューと同じく、初打席の初球を初安打。ア・リーグのチーム初安打でもあった。だが、それでもスタンドの拍手は、まばらなままだった。4回1死一塁の第2打席はニゴロ。二封で一塁に残るも、代走に同じセンターを守るウェルズ(ブルージェイズ)を送られた。スタメン野手でもっとも早く、球宴が終わってしまった。

 それでも松井は笑顔で球場から出てきた。「(安打は)目が覚めるような当たりだったねえ。ハハハ。球威に負けたが、運よく落ちてくれたね」。そこまで言うと、顔を引き締めた。

 松井「でも、安打がどうこうではありませんよ。一番大きいのは、ここで、この舞台でプレーしたことです。自信になるし、これからのキャリアに役立っていけばいいと思っています」。

 決して恥ずかしい成績ではない。数字に出ない面も含め、東地区首位をいくヤ軍の勝利に貢献してきた自負もある。だが、松井も「ボクより好成績の外野手がいるわけだから複雑です」と言い、ファン投票選出での出場も日本からの投票が大きく影響したのではないかという意見を否定しない。主役だった日本球宴とは違う。トップ選手の中に入ると、身の置きどころさえなかった。

 周囲が輝いて見えた。23歳と若いプホルスの打撃。「みんなが目指す打撃」。ひと振りで本塁打のジアンビ。「やっぱりスゴイ」。ブラロックの逆転2ラン。「興奮しました」。自分の未熟さを痛感する。しかし、気落ちはしない。すべては闘志となっていった。

 スイング。「オレも素振りではメジャーに適したスイングに変わってきている。でも、試合になると、ほとんど変わっていない。簡単には変わらないんだよ」。トレーニング。「多少はパワーもつけていかなければね。自分に適したトレーニングを考えていきたい」。野球への情熱が、あふれ出してくる。

 スタンドのファンを沸かせることはできなかった。しかし、松井の心は沸き立っていた。そういう球宴だった。

○…松井が、試合前のミーティングでソーシア監督から名指しされた。松井は「何て言われたって? いやあ、『マツイ、キンタマすえて行け!』だよ」と、うれしそうに明かした。「日本語で? そんなわけないだろ。英語でだよ」。どんな英語が使われたかは不明だが、ソーシア監督は松井のシモネタ好きまでリサーチしていたのかもしれない。

○…松井は試合中に、中継していたNHKテレビのインタビューに応じ、ナマの声を日本のファンに届けた。初安打に「(手が)痛かったです。思いっきり詰まったんで」などと話した。

[2003/7/17 紙面から]

写真=7回裏ア・リーグ2死、本塁打を放ったジアンビ(右端)を迎える松井(左端)らア・リーグナイン(撮影・川口晴也)



 7月17日紙面より  

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