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渡辺史敏の「from New York」
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2005/06/23 過去の記事一覧

もう1つのヤンキースに注目

 アメリカ22日、ニューヨークのもう1つのヤンキースが地元開幕を迎える。マイナーリーグ1Aのショートシーズン・リーグに所属するスタッテンアイランド(SI)ヤンキースだ。

 ショートシーズン・リーグはその名の通り6月下旬から9月上旬までの約3カ月間だけ開催されるプロ契約した大学生などを中心にした若手選手を中心としたリーグ。SIヤンキースは、その中でニューヨークとその近郊の14チームで構成されるニューヨーク・ペン・リーグに所属している。

 そのSIヤンキースが昨シーズン来、我々日本人にとって急速に親しみやすい存在となってきた。2月には日本語のチーム公式サイト(http://www.siyanks.jp/)を開設し、来る7月25日のバーモント・エキスポス戦では“ミズノ・ジャパニーズ祭り”と銘打ったNYヤンキースの松井秀喜も来場するイベントを開催するといった具合だ。

 これらの日本人向け活動を積極的にけん引しているのが同チームのグループセールス・マネージャー、白井孝明氏である。

 昨年夏同チームに就職した白石氏によると、日本語サイト開設は当初から考えていた事案だったという。「NY地区には20万人近い日本人がいて、年間30万人の観光客が来る。しかもその観光客はシーズン中である夏場に集中している。そして、彼らのほとんどがウェブから情報を得るようになっている。SIヤンキースが日本人を呼び込もうとするなら、日本語ウェブサイトを持っていないと話にならない」とオーナーに力説したのだとか。オーナーは白井氏の意見をすぐ理解し、開設にゴーサインを出してくれたという。

 実際、日本メディアへの熱心なPRの甲斐もあって同ウェブサイトは開設後1週間で10万ヒットを記録するなど、人気を呼んでいる。日本語で同チームのゲーム・チケットを購入できるのも魅力だ。

 そんな白井氏とチームにとって今シーズンの一大イベントとなるのがジャパニーズ祭りである。イベントの主旨は「来てくれたお客さんたちに日本の文化を少しでも知ってもらう、思い出してもらう」こと。当日は日本のビール、食べ物の販売、おめん、ヨーヨーの販売、安全必勝祈願祭、太鼓グループのパフォーマンスなどが行われ、入場者5000人にチームのロゴ入り扇子とポケット・ティッシュが贈呈される予定だ。さらには全観客の中から1人に日本のプロ野球観戦ツアー2人分がプレゼントされる。

 また松井も当日の来場だけでなく、「松井秀喜のインターナショナル・フレンドシップ・プログラム2005」というタイトルで金沢リトルリーグチームをニューヨークに招待することになっている。

 この盛り沢山のイベントは「マイナーリーグのチームがグローバルに展開するということで大きな注目を集めており、マイナーリーグの中でも今年1番のイベントになるだろうと言われている」のだとか。

 このほか日本関係以外でも昨年以上にスタジアムの内装をヤンキース色の強いものにしたり、多彩なプロモーションやプレゼントなどのイベントがシーズン中多数計画されている。

 白井氏は「負けてもお客さんが笑って帰っていくのがマイナーリーグ。SIヤンキースはそれに加えて、フェリーやスタンドから見られるマンハッタンや自由の女神といった景色、スタジアム横にある日本人設計の同時多発テロ追悼モニュメントなど、総合エンターテイメントとして楽しめます」とSIヤンキースの魅力を強調していた。

 7月25日のチケットは既に半分以上売れているとのことだ。この夏ニューヨークを訪れるなら、ぜひこのもう1つのヤンキースが演出するエンターテイメントを体験してみてはいかがだろうか。

【ジャーナリスト 渡辺 史敏】

◎このコラムは毎週木曜日更新予定です

渡辺 史敏(わたなべ・ふみとし)

 1964年生まれ。兵庫県出身。ニューヨーク在住。明大卒業後、科学雑誌出版社勤務を経て、95年フリーランスとして渡米。現在はMLBをはじめ、NFL、サッカーなどの米プロスポーツと、インターネット、TV、コンピュータなどのIT分野で取材・執筆活動を行っている。独自の視点で米国メディアの報道を分析、スポーツビジネスのレポートなどに定評がある。

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