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2003/10/30
#30 「祭りの後で思ったこと」
戦前の下馬評を覆して、ワイルドカードから勝ち上がったフロリダ・マーリンズがワールドシリーズを制覇した。この2年間フロリダとは何度も戦ったが、マーリンズと言えば…若い駒が揃ってる。右も左もパワーピッチャーが多い。なのに打線は右オンリー。だから右ピッチャーをぶつけとけ。僕の知ってるお魚さんチームは、いつだってこんな感じの大雑把なチームだった。
だから失敬な話ではあるが、ポストシーズンを凄い勢いで駆け上がるマーリンズを見るのはちょっと不思議な気がしてた。だって夏が来るほんの少し前まで、マーリンズとメッツは最下位争いをしていたのだから。
でも今年のマーリンズは、きっと強かったのだろう。ジャイアンツとの地区シリーズ(1敗のあと3連勝)、カブスとのリーグ優勝決定戦(崖っ淵の1勝3敗から3連勝)、ヤンキースとのワールドシリーズ(1勝2敗から3連勝)。プレーオフの全シリーズを、彼らは敗戦を立て直しての3連勝で撃破した。
自分の勘が外れたようで少し悔しいけれど、プレーオフでの3連勝っていうのは、すなわち敵チームの主戦投手を片っ端から打ち崩さなければ成し得ないことなので、それを3度もやってのけた今年のフロリダは、やっぱり強かったのだと認識せざるを得ない。
勝った者は強い訳だから。
話は飛ぶがワールドシリーズは、もはや日本人にとっては遠くの彼方で行わる夢物語ではなくなった。それが証拠に過去6回のワールドシリーズでは、日本に縁のある選手が連続して出場するようになった。(*)
98年、99年は伊良部選手がワールドシリーズの25人のロースターに日本人として初めて名を連ね、見事チャンピオンリングを手にした。(残念ながら登板機会はなし)
00年、01年は広島カープでプロデビューしたペレス、ソリアーノの両選手が大舞台で1番打者として活躍。昨年は新庄さんが日本人として初出場をスタメンで飾り、初安打に初得点を記録した。
そして今年は松井くん。名門チームの一員として堂々4番の座を勝ち取っただけでなく、センター奥深くに特大のホームランもかっ飛ばして、大いなる存在感を見せつけてくれた。日本人アスリートの頼もしくも喜ばしい世界進出の略図がここにあった。
ワイルドカード(2位チームの最高勝率)も見逃せない。昨年のエンゼルス、ジャイアンツ、今年のマーリンズ。この2年で3チームがワールドシリーズに出場し、2年続けてワイルドカードチームがワールドシリーズで優勝した。いずれも史上初の出来事だった。
レギュラーシーズンの最後の最後まで、ファンの興味を引き付ける有用な手法としてこのシステムは効果的に機能していると断言できるだろう。新しいシステムが機能して、新たな歴史が刻まれる。つくづくいい流れだよな、と思った。
残念なことに、100周年を迎えたワールドシリーズ史上、優勝チームで活躍した日本人選手は、まだいない。でも悲しむことなかれ。
メジャーリーガーであり続けることは、それだけで立派な勝者なのだから。そしてアスリートであり続けることは、もっと立派な勝者なのだから。どこの国でプレーしようとも。どこのレベルでプレーしようとも。
もしかすると、プレーする場所というのは、さほど意味のないことなのかもしれない。むしろ、長い戦いを勝ち抜いて最後の決戦の地までたどり着くその過程こそに、真の意義は存在しているのかもしれない。
だからマーリンズは強かった。そしてヤンキースも負けないくらい強かった。
新しい春が来ると、フィールドには新しい芝が芽生え、新しいシーズンが始まる。来年も再来年もきっと、MLBは門戸を開いて勇敢な挑戦者を受け入れてくれるだろう。来年はどんなワクワクが待っているのだろう。考えただけで胸が躍る。
ベースボールは春の訪れと共に帰ってくる。
緑の芝生のフィールドに、主は必ず帰ってくる。スタジアムにこだまする大歓声と共に。
だから今日からしばらくの間は、新しい春が来るのをのんびりと待とうと思う。
楽しみを待つのは楽しいもんだ。だってそれがベースボールってもんだから。
小島 克典(NYメッツ通訳)
(*)過去6年間のワールドシリーズの結果と日本から羽ばたいたアスリート達
98年○ヤンキース4−0パドレス ● 伊良部 秀輝 (NYY)
99年○ヤンキース4−0ブレーブス● 伊良部 秀輝 (NYY)
00年○ヤンキース4−1メッツ ● ティモ・ペレス(NYM)
01年○Dバックス4−3ヤンキース● A・ソリアーノ(NYY)
02年○エンゼルス4−3ジャイアンツ●新庄 剛志 (SFG)
03年○マーリンズ4−2ヤンキース● 松井 秀喜 (NYY)
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小島 克典(こじま・かつのり)

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| 1973年 夏 |
神奈川県厚木市生まれ。 |
| 1996年 夏 |
アトランタ五輪で通訳を始める。 |
| 1997年 春 |
日本大学卒業。通訳として渇。浜ベイスターズ入社。 |
| 2000年 冬 |
湘南シーレックスが誕生。シーレックス事業部へ異動。 |
| 2002年 秋 |
SFジャイアンツの通訳としてワールドシリーズ出場。 |
| 2003年 春 |
NYメッツへ転職。負けず嫌いの30歳。 |
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