巨人山口、240万円から成り上がれ
米大リーグのルーキーリーグ出身の異色左腕で、巨人から育成選手選択会議で指名を受け入団した山口鉄也投手(22=横浜商高出)が、辻内崇伸投手(18=大阪桐蔭)ら大物ルーキーに交じって存在感を放っている。この日も川崎市のジャイアンツ球場で行われた新人合同自主トレに参加。変則フォームからキレのいいボールを投げ込んだ。プロは1軍で試合に出なければ意味はない。年俸240万円からの挑戦が始まった。
山口は横浜商高を卒業後アメリカに渡り、ダイヤモンドバックスのルーキーリーグで3年近くプレーした。昨年巨人の入団テストを受け、今年が最初の育成選手選択会議で指名された。「自分が巨人とは。辻内君と同期とは」と、今でも信じられない様子で話した。
年俸は240万円。それでもアメリカ時代の約2倍だ。「野球人生で最高の環境。お金も全く問題ありません」。約8畳1人部屋の寮生活は、米国で5人1部屋の共同生活を送っていた山口にとっては天国。それだけでも新制度で巡ってきた「シンデレラストーリー」に感謝している。
実力は周囲が認める。「言葉が通じないので、コーチと身ぶり手ぶりでつかんだ」という、左スリークオーターの変則フォーム。腰の回転をフルに使い、上半身主導で投げるメジャー流だ。スライダー、カーブ、チェンジアップと多彩な変化球で勝負する。実際横浜も、ドラフト直前まで獲得を検討したダイヤの原石だ。
辻内はじめ、福田聡志投手(22=東北福祉大)栂野雅史投手(21=新日本石油ENEOS)ら、同期にはスピード自慢がそろった。それでも、早い腕の振りから放たれるボールは目につく。所スカウトが言う。「いいだろう? 日本の大学に行っていたら、上位指名だった。低めにキレのいい球がいく。(育成選手ドラフトの)制度を使わない手はない、と」。自主練習初日、偶然投球を目にした清水も「あの左ピッチャー、いいねぇ」と驚いた。
置かれた立場は分かっている。「自分に時間はありませんから」。70人の支配下選手枠に入れなければ、育成選手のままでは1軍の試合に出場できない。育成選手で3シーズン在籍し、翌年の支配下選手に入らなければ自由契約だ。
頭をきれいに丸めて巨人の門をたたいたのは、つかんだチャンスをものにする決意の表れだ。ハンバーガーで空腹をしのぎ、辻内が甲子園で大活躍していたときは母校で黙々と走り込んでいた。異色の左腕がハングリー精神で競争を勝ち抜き、はい上がった時、本当のシンデレラストーリーになる。【宮下敬至】
[2006/1/16/09:06 紙面から]
写真=辻内(左)とランニングする山口
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