【WBC】イチロー主催の決起集会
すでに、切り替えは終わっていた。前夜の疑惑の判定黒星は、もう過去の話。メキシコ戦を翌日に控えたイチローは、歯切れ良く前向きな言葉を並べた。
「いい感じですね。みんな表情は晴れ晴れしていたし、それぞれで消化したみたいです。勝てなかったですが、昨日で自信を感じたところもあるでしょうし、アウェーのああいう雰囲気の中で100%ではなくても力を出せたことで、何かを得たはずですからね」。
もちろん、完全に納得できたはずはない。ただ、そんなマイナス面を引きずるどころか、イチローはプラス材料に変えていた。
最後の最後まで米国と互角以上に渡り合った一戦は、全日本がもっとも必要としていた結束力を生んだ。東京での1次ラウンド、アリゾナでのオープン戦までは「寄せ集め」のムードは否定しようがなかった。だが、トップメジャーを本気にさせた戦いが、日本ベンチ全体の空気を変えた。
「昨日の練習前は、あれだけのメンバーですから、名前を見て物おじしてもしょうがない。でも、試合になるとみんなが一気に盛り上がっていけました。それなりの可能性をみんなが感じたと思います」。チームリーダーらしく、気持ちを込めて言い切った。
13日は、イチローの主催で夕食会を企画。ロサンゼルス市内にあるなじみの焼き肉店に野手陣を招待して、あらためて「仕切り直し」を図った。「いいチームになってきました。言葉で表現するよりも行動を起こすことがやっぱり大事だと実感しました」。大会前はミーティングなどでも率先して発言してきたが、米国戦での先頭打者弾で示したように、今後は行動あるのみ。準決勝進出まで1試合も落とせない中、イチローが感じる手応えは、何よりも頼もしい。【四竃衛】
[2006/3/15/09:45 紙面から]
|