藤田、ボクサーハンターだ
<猪木祭>◇03年12月31日◇神戸ウイングスタジアム◇観衆4万3111人
藤田和之(33=猪木事務所)が、頭脳的な勝利で迷走した猪木祭を締めくくった。異種格闘技戦で元IBF世界ヘビー級王者イマム・メイフィールド(31=米国)と対戦。「寝技20秒限定ルール」の盲点を突くスタンド状態での肩固めで2回2分15秒で勝利した。日本人選手4連敗だった大会のメーンを締めた。
クリンチしていた藤田が一瞬、体を沈めた。相手の左肩の外に移した頭と、左腕で相手のけい動脈を絞め上げる。こん身の肩固め。メイフィールドの体が大きく傾く。それでも逃がさない。左ひざに100キロの相手を乗せ、45秒間も絞め続けた。テレビ解説の高山も「この手があったか」と驚いた。高等技術の立ったままの関節技。相手を半失神に追い込み勝利した。
ボクサー相手の異種格闘技戦。最大のネックである「寝技限定20秒ルール」の盲点を突いた。前日30日に相手が正式決定する不安要素もあったが、総合格闘家マルコ・ファスとの2週間の米国合宿で準備したボクサー専用の必殺技で快勝した。「どんなルールでも相手に勝つ方法はある。それを証明した」と、藤田は胸を張った。元世界王者に1発のパンチもクリーンヒットさせない間合いもつかんでいた。「ミルコ、ヒョードルと戦った経験が身になった」と笑った。
カード編成の迷走、日本人4連敗と沈滞ムードだった大会を救った。厳しいルールの中でボクサー相手に勝利して夢も広がる。試合後は「皆が期待してくれるなら、タイソンと喜んでやりたい。その実現に向けてオレは戦い続ける」とまで言い放って胸を張った。
師匠の猪木は70年代、ボクシング世界王者アリとの対戦など異種格闘技の路線を歩んで、今の地位を手にした。30年を時を越え「猪木イズム最後の継承者」がリングで戦い続ける。師弟は試合後リング下でガッチリと握手を交わした。藤田は「『よし、よくやった』といわれた。そのひと言で十分」と満足げに言った。師匠も夢見た「最強」の称号。藤田が、04年も拳ひとつで世界の強豪たちに立ち向かう。【益田一弘】
写真=藤田(左)は肩固めでメイフィールドをKO(撮影・和賀正仁)
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