猪木が曙vsレスナー戦にノーロープ提案
タイトル初挑戦の曙(36)に強力な追い風が吹いた。新日本の創業者アントニオ猪木(63)は16日、新日本両国大会(19日)でのIWGP王者ブロック・レスナー(28=米国)対曙のタイトル戦をノーロープ特別ルールで行うことを提案した。曙が元WWE王者レスナーにプロレスキャリアで遠く及ばないことを考慮。自らの経験から巨体とパワーだけで真っ向勝負できる試合ルールの適用を主張した。
両国大会を曙場所にしろ! 決戦を3日後に控え、猪木が異例の特別ルールを緊急提案した。「曙はロープを外して、自分の得意の場所にしてしまえばいいんだよ。リングから落ちたら負けとかね」。異例のノーロープルールは、プロレスキャリアの浅い元横綱への援護射撃だった。
プロレスラーにとってロープは「命綱」でもある。反動を利用すれば技の破壊力は倍増する。一方で場外転落を防ぐ重要な役割もある。しかし、巨体とパワーだけが頼りの曙には、無用の障害物になっていた。得意の突き押しは2歩で止められる。キャリア1年ではロープを利用する攻撃もできない。しかし、ノーロープならば駆け引き抜きの真っ向勝負ができる。曙には願ってもない提案だった。
猪木自身がノーロープ・ルールで苦い経験をしていた。89年4月のチョチョシビリ戦。柔道五輪金メダリストの要求を受け入れて、ノーロープ円形リングで行われた。しかし、慣れないリングに戸惑い、キャリアを生かせず、チョチョシビリの力技に屈した。ノーロープマッチが、いかにプロレスラーに不利になるかが分かっていた。
一昨年、猪木は曙とスパーリングをした。大みそかのK−1 Dynamite!!のホイス・グレイシー戦に向けて、技と闘魂を伝授した。以来、曙のK−1での苦闘を見るたびに心を痛めた。今回のレスナー戦も、このままでは勝てないと判断。いてもたってもいられなかった。IWGP王座の創始者としても、海外に流出した至宝のベルトを何としても奪い返してほしかった。
「プロレスだから許されるルールもある。場所も両国国技館だから、リングを外して土俵でやってもいい。曙もまわしも締めてくればいい」。猪木は昨年WWEで実現した相撲マッチまで言及した。さすがにそこまでは興行的には難しいが、何でもありの猪木イズムは、曙にとって強力な追い風になるはずだ。
[2006/3/17/09:53 紙面から]
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