|
2003/11/25
|
 |
「ラスト・サムライ」はハリウッドの傑作!
「ラスト・サムライ」ってどうなの?本当に大丈夫なの?
過去、ハリウッドで描かれてきた日本を題材にした映画に、日本人はかなり辟易しています。この作品も見る前から過去のトラウマで「またか…」という先入観を持っている人も多いのではないでしょうか。または、トム・クルーズ主演というだけの、中身のない映画と思っている人もいるかもしれません。
実は私もそんな一人でした。この手の映画には必ずと言っていいほど、誇張されたおかしな日本人や日本が登場し、見る気も失せるというのが正直なところだったからです。
しかし、昨年末、ロサンゼルスのスタジオで撮影中のセットを取材し、今までとは違う画期的な時代劇になるのではないかという思いが強くなったのです。
というのも、エドワーズ・ズウィック監督はハーバード大学時代に駐日大使の経験もあるライシャワー教授に日本史を教わっており、さらにこの作品の製作にあたって多くの文献だけでなく、日本史研究者たちの意見を取り入れていることを知ったからです。
さらに、ワーナー・ブラザーズのスタジオ内に作られた明治の日本を再現したオープンセットも、店先に本物の鰹節やお茶、草履が置いてあったりと細部にまでこだわっているのが一目で分かり、足を踏み入れた瞬間に「当時の日本」にタイムトリップした感覚におちいったことも、この作品への期待度へとつながったのでした。
決定的だったのは「過去ハリウッドで描かれてきたような偏見や間違った日本人像というものはこの作品にはまったく感じられない。監督やトムは私たち日本の役者の意見を聞き、色々取り入れてくれている」という、セットで取材に応じた真田広之の言葉でした。撮影中は出番のない日も毎日セットを訪れ、殺陣だけでなく、細かな演出やトムの日本語の発音までチェック。撮影現場には真田専用のディレクターチェア―まで用意され、時には20回以上トムの台詞にダメだしをしたこともあったようです。
そこまで聞くと、期待しないわけにはいきません。
また、トムのこの作品に対する気合の入れようも半端ではなかったのです。自らプロデューサーをかって出ただけでなく、脚本の段階から多くの関連書物から得た知識を元にアイディアを出し、日本ロケも敢行。インタビューでは「武士道を尊敬している」と熱く語るなど、その強いこだわりと情熱の先にあるものが何なのか確かめてみたいという思いで、先日も試写会場に足を運んだのです。
そして実際に見ていた率直な感想は、「ファンタスティック!」「ブラボー!」のふた言に尽きます。
ロサンゼルスで行われたプレス向け試写では終了と同時に大拍手が沸き起こり、エンドロールに日本人俳優の名前が出る度に拍手が起きた。この拍手は作品に対する評価の現れであり、俳優に対する敬意でもある。終了後、あるジャーナリストの「ケン・ワタナベは素晴らしかった。間違いなくオスカー候補」という言葉を聞き、胸が熱くなりました。
「先入観」なしの素直な目で、ぜひとも「ラスト・サムライ」を見てもらいたいと、そう思うようになりました。
(このコラムの更新は毎週火曜日です)
【千歳香奈子】