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映画評

    2004/11/20 バックナンバーへ

ハウルよりかかしのラストシーン

「ハウルの動く城」(日)

 長年の宮崎アニメのファンから見ると「もののけ姫」あたりからヒーロー、ヒロインが輝いて見えなくなった。キャラクターよりも「反戦」「自然回帰」のテーマが主題になって、その壮大さにすべての登場人物がのみ込まれてしまった。興行収入308億円の日本記録を樹立した「千と千尋の神隠し」も、ヒロインの印象を聞かれると、思い出せなかったりする。

 ちょうどNHK教育で、宮崎駿初監督アニメ「未来少年コナン」(78年)の再放送が始まった。核戦争後の地球で、自然児コナンが機械都市まで友達の女の子を奪還しにいくお話。窒息寸前の海底で真っ赤な顔をして奮闘するコナン、おどけて女の子を励ますコナン、がつがつ食べるコナン。記憶に刻まれたコナンが生き生きとそこにいる。コナンと一緒に走り、泳ぎながら、武力を競うことの愚かさや、土と暮らすことの尊さが自然に胸に落ちる。理屈じゃないのだ。

 コナンから26年。物語の根底にあった宮崎アニメの不変のテーマはいつしか“主役”になり「ハウル」ではめいっぱいダイレクトになっている。街を救う名目で飛ぶ軍用機を見たハウルが「どっちだって同じだ。人殺しめ」。分かりやすく反戦、反戦とアジられているような気もする。

 「ルパン3世 カリオストロの城」のラストは「連れて行って」と抱きつくクラリス姫を、ルパンが万感の思いを込めてあきらめる。大泥棒でも手に入れられないもの。何も言わないからこそすべてが伝わる、見る人に託した名場面。説明過多のハリウッド的豪華版より、古い欧州映画のようなこんなシーンの方が、いつまでも胸に残っていたりする。ハウルより、語らないかかしのラストシーンに心動かされた。

(このコラムの更新は毎週土曜日です)

【梅田恵子】
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