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映画評

    2005/01/22 バックナンバーへ

2時間48分…涙、飽きさせません

「北の零年」(日)

 2時間48分。長尺化している映画に慣れたとはいえ、ちょっとため息をつきそうな長さ。でも、あっけなく、ストンと物語に入ってしまいました。日の暖かさに包まれる淡路の冒頭から一転、長い船旅で一番うれしいはずの陸が見えた瞬間にさえ、北の大地の厳しさに息を飲む面々。どちらが夢かまぼろしか、できれば私も淡路に戻りたい…と思うほど、知らず知らずのうちに肩を突っ張って見ていました。

 長さも感じさせず、飽きさせません。涙のポイントをまんべんなく散らし、そしてきっちり押さえています。書状のシーンでじわり、まげのシーンでぽろり、再会のシーンでひとすすり…。書状のシーンなんて、2時間48分のほんの序盤です。涙は最後に取っておこう、と思った覚悟は崩れ去り、いとも簡単に泣いちゃいました。中盤以降も特に、アイヌの老人とともに行動する男を演じた豊川悦司のシーンは、どれも切なくて出色でした。

 ただ、群像劇でもあるので、細かく均質なエピソードの連続という感もあって、強烈に突き抜けた印象を持つシーンがなかったような気がしないでも…。流してきた涙はどこにつながるのかと考えると、そのシーンだけのもの。感動よりも“見終えた達成感”が先にきてしまったのも確かです。

(このコラムの更新は毎週土曜日です)

【小林千穂】
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