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 nikkansports.com > 芸能TOP > インタビュー > 丸山和也弁護士
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  インタビュー<日曜日のヒーロー>
 過去のインタビューは、日刊スポーツ紙面(東京本社発行分)でもご覧になれます。
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 なお、WEB上では、紙面より1週間遅れでの公開となります。
第477回    丸山和也弁護士  
2005.08.14付紙面より

丸山和也弁護士
写真=丸山弁護士の「マラソン合宿」を取材した。少し一緒に走って撮影しようかと思ったが、あまりの健脚ぶりにあきらめた。もし私が一緒に走ってけがをした場合、労災は認定されるそうです。ただ、丸山弁護士に誘われ、走ってけがをした場合に「丸山!訴えてやる」と騒いでも、丸山さんからは何も受け取れないとのこと…。北村弁護士、見解は?
(撮影・水谷安孝)

丸山和也に行列のできる理由

 今、日本で最も顔が知られた法曹関係者はこの人だろう。丸山和也弁護士。「法に魂を込める」をモットーに、人情派としてすっかり茶の間の人気者になったが、素顔もまた人一倍負けず嫌いの熱血漢である。「59歳じゃ無理ですよね」の一言に闘志を燃やし、今月27〜28日にテレビ番組の企画で100キロマラソンに挑戦することになった。四角四面の世の中で、異彩を放つカリスマ弁護士に迫った。


酒好き

 腹の底に、点火したら容易に消えない火種を持っている。5月上旬、出演中の日本テレビ「行列のできる法律相談所」(日曜午後9時)のスタッフから「24時間テレビ」のマラソン挑戦を打診された。いったんは断った。しかし、スタッフから「59歳じゃ無理ですよね」と言われ、気が変わった。

 「じゃあ、やったろうやないか、と。マラソンに年齢は関係ないやろ。まあ、うまいこと乗せられたんかもしれんな。でも酒はやめんで。酒は百薬の長。酒を飲むんは、自分へのいたわりや」。

 今年で14回目を迎える同マラソンの最高齢で、芸能人以外で初めての挑戦。練習中の7月20日には、ガードレールで右ひざを打撲し、走ることもできなかった。しかし、あきらめなかった。今月4〜6日の神奈川・湯河原合宿では計31キロを走り、完全に自信を回復した。集中力に絶対の自信を持っているだけに、走る姿は真剣そのもの。うかつに声をかけられない殺気すら漂わせていた。

 「ようやくまた、走れるようになった。まあ、高校のころから負けん気は強かったから。柔道やっててね、全然強うはなかったけども、ケガしても練習するし、試合も出る。明らかに力が上の人に、何回でも立ち向かっていくというところはあった。先生もそこは認めとったな」。

 弁護士になったきっかけも、マラソン挑戦と似ている。

 「大学3年の時、同じ下宿先の友達が突然、勉強し始めた。寝ないで勉強するもんやから、こっちも同じ部屋やし、眠れん。しゃあないから一緒に勉強しとったら楽しゅうなってきて、1日15〜20時間、勉強しとったな。ま、その友達は結局、普通の会社に就職して裏切られたわ(笑)。あの勉強に比べりゃね、マラソンなんか1日で終わるんやから、大したことないわ」。


エリート

 国家公務員上級試験に合格し、早大卒業後に法務省入り。24歳、3度目の挑戦で司法試験に合格した。2年間の研修後、3年間は日本で弁護士として働いたが、30歳の時、国際的な活動ができる弁護士になろうと渡米。ワシントン大ロースクールに2年間通い、学位を取得して、ロサンゼルスの法律事務所に3年間勤務した。

 「裁判先進国といわれる米国では、おかしな判決もいっぱいあった。有名なマクドナルド訴訟なんか、ホットコーヒーこぼしてやけどしたおばさんが、損害賠償請求して、マクドナルドの過失が認定されたわな。自分の過失をたなに上げて、他人の責任を追及するんやからな」。

 世界一の訴訟大国は教師であり、法律のゆがみを感じる反面教師でもあった。そんな経験も「法に魂を込める」というモットーにつながっているようだ。「行列−」では時に法律を無視するような意見を言い、北村晴男氏ら共演する弁護士仲間から猛反発をくらう。

 「ただでさえ、理屈っぽい法律というものをしゃくし定規に解釈しとったら、人間を救うべき法が人間を殺してしまうことになる。魂とは人間の情。法律は何のためにある? 人のためや。法に合わせて生きてる人だけが『いい人』なわけじゃない。だからテレビでも、あえて刺激的なことを言っとるんやね。裁判はかかわった人の人生を変えてしまう」。

 そして、こんな例を引用した。酒ぐせの悪い夫がたまたま、包丁を持つ妻に向かって倒れこんだ。包丁が夫の胸に刺さって亡くなった。これは殺人事件なのか−。

 「社会的にみれば小さい事件でも、かかわった人の人生を左右してしまう。法律に人間性を持たせんとゆがみが出るわけや。これまで相談者が会社だったり、個人だったり、いろんなケースを扱ってきたけど、少年事件では家庭、親子関係の問題もみえてくる。ある少年が逮捕されて、これがどう見たっていい子だったりする。事件を起こした子の親には、自分の社会的地位を考えて『我が家から犯罪者がでた』ことを気にする者もいる。今は家庭がおかしいんかもしれん。事件を通して世相を映す。法律は深いよ」。


自由人

丸山和也弁護士

 帰国後の80年、丸山国際法律特許事務所を開設。弁理士登録も済ませていたが、00年4月から「行列−」などテレビにレギュラー出演し、講演活動も増加。休みが年間4、5日という多忙さになったが、ボヤきながらも、生来の負けん気で精力的にこなしている。

 「仕事で取材受けることがあり、そのつながりから『行列』に出るようになった。でも、どうしても時間のやりくりが難しいし、弁護士の仕事を減らしてしまうわな。昔は、お天道さまと同じ生活が一番やからと思うて、夜7時ぐらいまでに晩飯を終えてたけど、最近は難しい。怖い世界やで、芸能界は(笑)。唯一の息抜きは酒飲んで1人でボーッとすること。休みはこればっかり。用事がある日も、1日のうちにちょっとはそういう時間をつくっとるけどな」。

 その歩みには「熱血漢」という言葉がぴったりだが、腹のもう一段、底には「自然体」の境地がある。酒のほかに、座禅が趣味。30代後半のころから組んできた。きっかけは、自分の頼りなさを克服したかったからだという。30分の座禅を日課としてきたが、最近は時間に余裕のある日に3〜5時間まとめて組むことが多い。

 「心を無にするためにやるもんやが、これが、やってみると、実にどうでもいいことばっかり頭に浮かぶ。今日の晩飯は何にしようとか(笑)。ま、それはそれでええ。自分の今の心の状態をチェックするには最適やね」。

 座禅=心の修行と、自分をしばりつけたりしないのが“丸山流”。「こだわり」「美学」などの言葉も大嫌い。人生の目的は、あらゆるこだわりから解き放たれることだという。これは、学生時代の柔道から学んだことだという。

 「僕の理想は、ちゃらんぽらんにみえて、実はしっかりしてる、ということ。柔道部で先生に教えられた『守破離(しゅはり)』やね。まず最初に型を覚え、次に自分なりの形で型を破ろうとする、そして最後に型がなくなり自分のスタイルで試合をやる。これが人生と同じ。僕のゴールは自由な『離』の境地。そういう人になりたいね。まあ、ホンマにただちゃらんぽらんなだけ、いう人もおるから、それを見分けるのが大変や」。

 乗りかかった船を自分なりに懸命にこぐうち、100キロマラソンにまで行き着いたわけだが、こうした生き方は確実に茶の間に共感を呼んでいる。

 「最近、事務所に同世代の男性から『勇気が出た』とか『自分も頑張ろうと思った』とか、いろんなメールがくる。法律相談のメールより多いわ。中には『必ず完走してください』とか書いとるけど、ほっといてくれ。大きなお世話や(笑)。励みにはなるけどな」。

 来年1月に還暦を迎える一弁護士の笑顔は、法律とは違う次元で市民を助けているのかもしれない。


酒を飲みながらなんてバカなことはやめなさい

 “犬猿の仲”の北村晴男弁護士(49) (マラソンは)大変だと思いますよ。すごい距離だと思う。酒を飲みながら走るなんてバカなことを言ってましたが、そんなことはやめなさい。ま、とにかく、ベストを尽くしてください。ゴールで待ってますから。


 ◆丸山和也(まるやま・かずや) 1946年(昭和21年)1月23日、兵庫県生まれ。69年、早大法学部卒業後、法務省入り。70年、司法試験に合格。76年渡米。ワシントン大から米国の法律事務所に勤め、80年帰国。丸山国際法律特許事務所を開設し、企業間の紛争・交渉を中心とした国際法務を得意とするほか、個人の問題にも幅広く取り組む。好きな酒は毎日、日本酒1合、ビール1本、焼酎1杯。妻と娘1人。


(取材・村上久美子)

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