
文太、同世代にメッセージ「強く生きろ」
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| 助演男優賞を受賞し喜びを語る菅原文太(撮影・宇治久裕) |
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「わたしのグランパ」で一本気な男を演じた菅原文太(70)が助演男優賞を初受賞した。その圧倒的な存在感と包容力が、新人賞を受賞したヒロイン役石原さとみ(16)の伸び伸びとした演技も引き出した。日本映画を支え続けるトップスターは、今もなお輝き続けている。
「実は複雑な気持ちなんだよ」。日刊スポーツ映画大賞は初の受賞。都内で行った受賞インタビューの第一声は戸惑いの言葉だった。「選んでくれたのは本当にうれしいよ。(選考委員の)一人ひとりに本当にありがとうと言いたい。ただ、映画っていうのはやっぱり、若さが画面いっぱいに出ている方がいいからな。年とっても頑張っている人には失礼かもしれない。でもおれは、70歳にもなって、いい年こいて、あまり華やかな場には出ない方がいいと思っているからさ」。
信条は「無欲」「潔さ」。今回の選考対象になった「わたしのグランパ」で演じたヒロインの祖父役のイメージとぴたりと重なった。選考会でも「とにかく格好よかった」「役が文太さんそのものだった」という声が相次いだ。
映画にメーンキャストとして出演したのは9年ぶりのこと。70年代、東映「仁義なき戦い」シリーズに主演していたころを思えば、ファンにとっては物足りないペースだ。「出たくないわけじゃない。志のある作品に出たいだけだよ」。5年前に東京を離れ、飛騨高山(岐阜県)の山里に居を移した。手紙や電話で出演依頼を受ける。「出番が多いか少ないかなんて関係ない。これからの日本を考えているような作品がいいね」。
文太が演じたおじいちゃんは、いじめ、校内暴力、痴漢、我が物顔のチンピラなど、現代社会の身近な問題に対し、筋を通して毅然(きぜん)と立ち向かう一本気な男。その行動力が行き詰まっていた周囲の人々の心を揺り動かしていく様子を描いている。「自立心を持ったそういう年老いた男は今でも本当はあちこちにいるはずなんだ。ただし、そういう人は普段は目立たないように戦ってる。そういうことをいくらかでも知ってくれればと思って出演したんだよ」。
同年代の男たちに「もっと強く生きろ」と訴える。「年金に頼るのもいいけれど、元気に働ける人が、もっと年金をくれなんて言っちゃいかんよな。そんなことじゃ、人間力が落ちる一方だよ」。
「仁義なき戦い」で、当時の自分と同じ若者たちを熱狂させ、しぶとく生きろと励ました。時は過ぎ、時代が変わろうとも、文太はスクリーンを通して男たちの心を揺さぶり続ける。
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主演にもノミネートされた菅原を「やはり存在感が抜群」(福島瑞穂)と支持する意見と、「安定感がある」(清水富美男)と「座頭市」「ゲロッパ」などの岸部一徳を推す声で互いに譲らず。決選投票は3票差で菅原に。 |
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◇菅原文太(すがわら・ぶんた) 1933年(昭和8年)8月16日、仙台市生まれ。新東宝「白線秘密地帯」で本格デビュー。67年に東映入り。69年「現代やくざ・与太者の掟」で初主演。72年「人斬り与太」でスターの仲間入り。73年「仁義なき戦い」がシリーズ化され大ヒット。75年スタートの「トラック野郎」もヒットした。
◆わたしのグランパ 第51回読売文学賞を受賞した筒井康隆氏の同名小説の映画化。親友を殺した相手を殺して13年の服役を終えて出所した五代謙三(菅原)と孫娘珠子(石原)との心の交流を描く。さまざまな事件とグランパとの交流の中で、珠子は少しずつ大人へと成長していく。東陽一監督。
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