
中村獅童ふらふら点滴受賞
 |
| 助演男優賞受賞の喜びを語る中村獅童(撮影・中島郁夫) |
|
ステージ上の中村獅童はふらふらだった。風邪で39度を超える熱があり、病院で点滴、注射を受けて会場入りした。しかし、自分の手で賞を受けたいとの思いが倒れそうになる体を支えた。実は受賞作「いま、会いにゆきます」を見たのは、公開から1カ月半もたった今月だった。「この物語の中に入りすぎて(9月に)撮影が終わっても、なかなか作品を見る気持ちになれなかった」と打ち明けた。
新橋演舞場の初座長公演「丹下左膳」を終えた後、六本木ヒルズのオールナイトで見た。男性客に見つかり「あいつ、自分の映画を切符を買って見に来るんだ」との言葉に恥ずかしい思いをしたが「見てやっぱり良かった。いい映画に出たんだ」と実感。だからこそ「この映画で賞をもらえて、大変うれしく思った」。
花束贈呈は、映画で子供役を演じた武井証(7)。緊張と体調の悪さで硬い表情の獅童から初めて笑みがこぼれた。撮影中の獅童について聞かれた武井が「たっくん(役名は巧)は最初は元気だったけど、途中で風邪をひいて心配した」と言うと、獅童は「体が弱いもので」と応え、本当の父子のような会話に笑いが会場に広がった。一昨年の助演男優賞受賞者の香川照之(39)も獅童の演技力を認めた。「主演といってもいい。繊細な中に役になりきる力を感じた」とたたえた。本籍は歌舞伎の獅童にとって、市川猿之助を父に持ち同じ歌舞伎の血が流れる先輩香川の言葉がうれしかった。
26日に千秋楽の「丹下左膳」も成功だった。初座長でプレッシャーがあったが、大入りが続き、千秋楽のカーテンコールで観客が総立ちで拍手した。「共演者みんなの力です」というが、結果は一枚看板で大劇場を担えることを実証した。来年のスタートは1月2日初日「浅草歌舞伎」。受賞の自信が、今年以上の活躍を誓う獅童を後押しする。【林尚之】
 |
 |
 |
 |

「いま、会いにゆきます」の中村獅童、「ヴァイブレータ」の大森南朋らが候補に。「主演の寺島しのぶを生かしたのはまさに助演」(櫻井)と大森を推す声もあったが、「純粋な男をうまく演じた」(神田)などの意見で9票差で中村に決定。 |
 |
 |
 |
 |
◇中村獅童(なかむら・しどう) 本名・小川幹弘。1972年(昭和47年)9月14日、東京都生まれ。父は3代目時蔵の三男の初代獅童(現在は廃業し会社役員)。81年に歌舞伎座で初舞台を踏み、2代目獅童を襲名。歌舞伎若手として活躍する一方、映画「ピンポン」「阿修羅のごとく」、ドラマ「HR」「新選組!」、CMなど幅広く活動。日大芸術学部演劇学科出身。177センチ、63キロ。血液型O。
◆いま、会いにゆきます 妻の澪(竹内結子)に先立たれた巧(中村獅童)は息子佑司(武井証)と2人で暮らしていた。佑司は生前に澪が語った「1年後の雨の季節に帰ってくる」という言葉を信じていた。そして言葉通り、澪は2人の前に現れたが、記憶を失っていた。巧は2人の恋の思い出を澪に語り、佑司と3人の心が通い始める。
|