73歳佐藤純弥監督に初の監督賞
第48回ブルーリボン賞が23日、東京映画記者会(日刊スポーツなど在京スポーツ7紙の映画担当記者で構成)から発表され、興収30億円を超える大ヒット中の映画「男たちの大和 YAMATO」の佐藤純弥監督(73)が監督賞を初受賞した。主演男優賞は「亡国のイージス」の真田広之(45)が3度目の受賞。新人賞は「HINOKIO」「青空のゆくえ」で存在感を見せた多部未華子(16)が受賞した。授賞式は2月7日、東京・内幸町のイイノホールで行われる。
佐藤監督にとってブルーリボン賞は63年、デビュー作「陸軍残虐物語」で新人賞を受賞して以来。当時、授賞式には映画監督になることを反対し続けた母親が姿を見せた。「『良かったね』と言ってくれて。初めて監督になるのを許してくれました」と、当時を懐かしんだ。監督賞の初受賞には「大変うれしい反面、この40年間自分は何をしてきたのだろう、とじくじたる思いもありますね」。長年、映画界をけん引してきたプライドを感じさせる感想だった。
「男たちの−」の製作はベテラン監督でさえ、経験したことがない重圧が続いた。総製作費25億円の超大作。映画界の将来まで背負った。「大作が成功すれば、映画をつくる場が広がるし投資も増える」。ここまでに興収30億円、観客動員数250万人を突破した。角川春樹プロデューサー(64)は「まだまだ行ける」と意気込むが「1つの責任を果たしたのでは。やっと緊張感と責任感から解放された気がする」と、大ヒットで肩の荷を下ろせる喜びを感じている。
監督を引き受けたのは、自分の中の第2次世界大戦を整理する意味もあった。映画は45年、沖縄に出撃して撃沈された戦艦大和の乗組員を描く。当時12歳。戦艦大和の存在は知っていても、海底に沈んだことは知らなかった。軍国少年として教育を受けてきた少年は、終戦をどう受け止めていいのか分からなかった。価値観がひっくり返された感覚しか残らなかった。
大戦の象徴ともいえる大和に対して、否定的な思いが強かった。しかし、戦後60年の節目に、戦争を知る映画人としての責任が芽生えた。「年を取ってやっともう1度、太平洋戦争に直面したい、という覚悟ができた。自分なりに(終戦への)区切りもつけられたと思う。思ってきたものをつぎ込んだから、充電しないと」。語り尽くせない思いを、すべて映像に注ぎ込んだ。【近藤由美子】
[2006/1/24/07:48 紙面から]
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