いつのまにか古典落語の担い手
新作落語一筋に演って来た人が路線を変更、古典落語の語り手になろうとしても、一朝一夕にうまくいくものではない。新作落語をしゃべっているうちに身についてしまった新作口調がなかなか抜けず、古い噺を演じるときにその新作口調が気になって、聞き手のほうではついていけなくなってしまうのである。
その点を上手にさばいているのが桂文珍だ。若い頃の文珍は、関西の新作源が゛創作落語゛といっている自作の新作で人気者となった。その文珍が、いつのまにか古典落語の担い手として頭角をあらわし多くのファンを獲得することが出来たのも、新作口調を少しも感じさせないからだ。
落語を創作する才能を生かし、古くなった落語を現代風にパロディ化した作品も実に楽しい。いそがしいスケジュールをさばき、年に一度は゛にっかん飛切落語会゛に応援出演してくれるのもうれいし限りである。今回演る『老楽風呂』とはどんな噺なのだろうか。
◆桂文珍(かつら・ぶんちん)
本名:西田勤。1948年(昭和23年)12月10日、兵庫県生まれ。子供のころから落語好きだったが、大学時代に桂小文枝(のち文枝=享年74)の高座を聞いてショックを受け、さっそく落語研究会を作り「美優亭さろん」の名前で活躍する。3年に在学中の1969年、小文枝に入門、内弟子になる。72年に桂文珍を名乗って初高座。
74年ごろから朝日放送系の「ヤングOh! Oh!」に出演。月亭八方らとともに若手4人組の「ザ・パンダ」として売り出す。その一方で高座にシンセサイザー演奏を取り入れたり、斬新な照明の「SF落語」を始める。
88年から関西大学文学部の非常勤講師になり国文学史特殊講義を担当。1年間の講義録を「落語的学問のススメ」(潮出版社)として出版した。99年には約4カ月慶応大学でも講義。98年から10年計画で古典落語のCD化に着手している。
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