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新車情報 オートバイテル

日産スカイラインクーペ:新世代を体現するクーペ

日産スカイライン サイズ・デザインなどアメリカを大いに意識したクーペ

 日本は今、「セダンもクーペも不振の時代」と言われている。それじゃあ一体“何の時代”なのか! と、突っ込みのひとつも入れたくもなるところ(?)だが、見方を変えれば、それというのも「日本車に真っ当なセダンやクーペが存在しないため」と、ぼくにはそうも感じられる。例えば、市場規模自体はシュリンクをしてもセダン市場ではメルセデスやBMW各車の比率が段々と高まっているという。そんな現状が、事態を物語っていると言えるのではないだろうか。気がつけば、星の数ほどもあるラインナップの中に、魅力的なセダンやクーペは本当に少なくなってしまっていた――それが日本車の現状だったのだ……。

 そんなちょっと寂しい雰囲気の中で日産からデビューをしたのが新型スカイラインクーペ。先に登場のセダンと共に『V35型』と称される最新のスカイライン・シリーズは、その歴史上で初めてアメリカ市場でも発売をされることもニュースのひとつだ。ちょっと大柄なボディサイズも3.5リットルという大きめサイズのエンジンの搭載も、日本よりも遥かに規模の大きなアメリカ市場での量販をも意識した結果であることは確実。と同時にクーペのデザインは、新型フェアレディZから消滅をした『2+2』ボディの受け皿的役割を担う事をイメージさせるもの。実際、ボディ構造的には「セダンよりもフェアレディZの方により近い」と開発者が語るのが、新しいスカイライン・クーペというクルマなのだ。

デザインと機能性の融合は、やはり難しいのか

 ちょっと縦長のヘッドライトに横桟デザインのグリルを組み合わせたフロントマスクや、異型デザインのテールレンズにセダンとの関連性を感じられる新型クーペに乗り込んでみる。Zよりも200ミリもホイールベースが長い事による見た目上の間延び感を薄めるべく、ドアの長さもかなりのものだ。よって、その開閉にはそれなりの腕の力が必要。毎日付き合うドライバーはすぐに慣れてしまうかも知れないが、パッセンジャーがか弱い女性だったりすると半ドアになりやすいのは要改良点と言える。

 ドライビング・ポジションは「セダンほどアップライトではなく、Zほど低くはない」印象。ただし、セダン用と同デザインのダッシュボードを用いながらもこちらはどことなくスポーティな囲まれ感がより強いのは、「ダッシュ位置に対して相対的にヒップポイントが50ミリ低いことによるもの」と聞かされたのは後の事であった。ちなみに、ボディサイズは決して小さくないながら、リアシートでのスペースは大人にとって余裕あるものとは言えない。特に、セダンよりも80ミリも小さいというヘッドスペースは、普通の姿勢で座ろうとするとほぼ確実に頭上がガラスに触れてしまうもの。「今回は広さよりも、空力的にもベストで見た目にも流麗なルーフラインを採用したため」の結果であると言う。

ハンドリングとサスペンションのチューニングの妙

 そんなキャラクターを持つスカイライン・クーペで走り出してみる。ボディの大型化や装備の充実によってフェアレディZよりも重量が嵩んでいるが、それでも加速力は十二分だ。VQ35DE型4バルブDOHC V6ユニットは、アクセル操作に対するレスポンスやサウンドなどが作り出す、『高回転域にかけての心地良い伸び感』こそさほどシャープでスポーティな印象ではないのが残念。が、3。5リットルという余裕のある排気量が生み出す低回転域からのトルクの太さは大きな売り物だ。そのため、6速MTで乗っても5速ATで乗っても、出足の力強さは相当のもの。ステアリング操作に伴う回頭感の鋭さはとても1。5トンをオーバーするフロントエンジン車のそれとは思えないほど。ヨー慣性モーメントの低減と前後重量配分の適性化に取り組んだ“フロント・ミッドシップレイアウト”の採用が大きな効果を生み出していることを実感する。

 路面の良否に拘わらず常にヒョコヒョコとしたピッチング挙動消えず、少々がっかりさせられる事になったフェアレディZと比べると、サスペンションが小さな入力から効果的にストロークをすることで生まれるフラットライド感は、こちらクーペの方が数段上だ。事前説明を耳にしている時点では相当に盛り上がりながら実際にテストドライブをした段階で購入を躊躇したのがZだったが、このクルマの脚であれば相当に食指をそそられる! ただし、ぼくにとってはやはりちょっぴり“アメリカン”で大柄なサイズが気になってしまったのも事実。これもまた、何とも個人的なハナシで申し訳ないのだが……。

新世代の『スカイライン』を体現するクーペ

 直列6気筒エンジンの搭載を辞め、丸型テールライトも廃したV35型セダンが1年半前に登場をした時、世の中では「今度のスカイラインは“らしく”ない」という大きなムーブメントが起こった事はまだ記憶に新しい。V型エンジンでなければ成立をしない“フロント・ミッドシップレイアウト”を軸に、21世紀に向けてのスカイラインというクルマのあり方をいくら開発者が熱心に語っても、長い歴史と伝統に裏打ちされたこれまでのスカイラインのファンというのは、なかなかその新しい考え方には賛同を寄せてはくれなかったのだ。

 が、そうした頑なファンを自認する人にとっても、きっと今度のクーペは気になる存在だろう。特にその走りの実力の高さ、ドライビング・テイストの新鮮さを知ってしまえば、過去に構築された様々な記号を失ったスカイラインも、また確固たる考え方に基づいた気合いの入った1台である事を認めないわけには行かないはずだ。そして今、次なる注目はGT−Rの復活! それが『スカイラインGT−R』になるのか『ニッサンGT−R』になるのか、社内でもまだハッキリとした方向性は見えないでいると言う。

 けれども、新しいスカイラインクーペに触れた今、ぼくには“次のGT−R”に対しての大きな期待を抱くことが出来る。それはこの、新型クーペの実力というものが、様々な面で極めて高いことを知ったからに他ならない!

テキスト:河村康彦、写真:原田淳 [2003/4/09]



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