<第21回>
子供の目は軽症でも専門医へ
小学校4年生のT君は近眼だが、メガネが嫌いで、スポーツのときには外してしまう。ある日、いつものようにT君はメガネを外してサッカーをしていたが、ボールの距離感がつかめなかったのか、友達の蹴ったボールが左目を直撃してしまった。普通、目を強くぶつけたときには、腫れて目が開きにくくなったり、視力が落ちたりする。出血があれば飛蚊症(ひぶんしょう)といって、目に黒い点のようなものがちらつく症状が起こるものだ。
T君は一時的にかなりの痛みを感じたが、鏡でみても、目は普段と変わらなかったので、ぶつけたことすらも忘れていた。ところが3週間たったある日、T君は左目の視野の下のほうが暗くなって欠けていることを親に訴えはじめた。
「目を強打したのに自覚症状がなく、外傷もないのに、網膜はく離が進行してしまったという残念な例ですね」と八王子市の近藤眼科台町クリニックの近藤義之院長は解説する。
「事故直後に、眼科をきちんと受診し、精密眼底検査をすれば、網膜に傷がついていることが発見できたと思います。その時なら網膜のレーザー治療で1回、わずか10分の治療で済むはずだったものを放置してしまった結果です。網膜はく離の場合には、お子さんなら全身麻酔で手術をする必要があり、入院期間も2週間です」。
T君は、日ごろから視力が低く、メガネで視力を調整していたため、事故後の自分の目の「見えにくさ」を感じにくかったようだ。目に関しては、子どもの「大丈夫!」という言葉で安心せず、軽症だと思っても、すぐに専門医にかかるべきだ。
【ジャーナリスト 月崎時央】
|