【第19回】
新興感染症、既に30種類以上…危険は近くに
新興感染症1
新型肺炎(SARS)の流行は、あらためて新興感染症の恐ろしさを世界に示した。新興感染症とはここ20〜30年間に新しく認識された感染症で「局所的に、あるいは国際的に公衆衛生上の問題となる感染症」と世界保健機関(WHO)は定義している。01年まで国立感染症研究所所長を務めた竹田美文・実践女子大学生活科学部教授は「すでに30種類以上の新興感染症が報告されています。日本でも多数の新興感染症患者が出ていて、対岸の火事とは言ってられないのが現状です」という。
世界的に広がったものとしては、O157(82年発見)エイズ(83年)ピロリ菌(同)プリオン=変異型クロイツフェルトヤコブ病(86年)C型肝炎(89年)ヒトヘルペスウイルス8型(95年)クロストリジウムディフィシレ菌=偽膜性腸炎(99年)、そして今回のSARSなどがある。
「新興感染症は文明病の側面があります。開発による未知の病原体との接触、食料・食材の輸出入の増大などが大きな理由と考えられます。また交通機関の急速な発展も新興感染症をまん延させる原因になっていますね」と竹田教授。
あっという間に広がりをみせるのが、新興感染症の怖さ。例えばO157は82年、米国で初めて感染報告があったが、84年には日本でも感染が確認され、96年は1万人を超える大流行があった。現在でも患者数は毎年3000人ほど報告され、定着した病気になったような感もある。
竹田教授は、日本で感染が報告される前からO157研究をスタートさせた第一人者だが「日本の食糧は約60%が輸入に頼っています。完全な検疫体制など無理な話です。まして新興感染症は未知の病原体が起こす病気。まずは感染症の危険は常にある、と危機意識を忘れないことが重要です」という。
未知のものではないが、再び流行し始める再興感染症の危険性も低くない。WHOの年次報告では、結核の発症率が年に0・4%の割合で増加していることを指摘している。
【ジャーナリスト 小野隆司】
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