【第35回】
自覚症状無くても自己管理を
腎臓病2
最近、中高年に増える傾向が指摘されている腎臓病がある。急速進行性糸球体腎炎と呼ばれるもの。1カ月もたたないうちに腎(じん)不全になってしまうケースさえある。発病初期は無症状だが、微熱、けん怠感、食欲不振などの症状も表れてくる。進行すると呼吸困難、出血傾向、意識障害など尿毒症症状が出る。原因は不明だが、白血球の仲間である好中球が関係することが分かってきている。
「日本では免疫が関係しているIgA腎症と呼ぶ腎臓病が、海外と比較するとかなり多い。体質、遺伝的要素もあるので、腎臓にはもっと気を配ってほしい」と言うのは、順天堂大医学部腎臓内科の富野康日己教授。
障害を起こした腎臓組織を再生することは、現在のところできない。腎臓病の治療は、病気の進行をいかに遅らせるかがポイント。具体的には、食事療法と薬物療法が進行を抑えるカギとなる。
食事療法ではたんぱく質を制限する∞エネルギーを十分とる∞塩分を控える≠ェ3本柱。日常生活では、寒さにも注意したほうがいい。腎臓への血液量が減り、血圧が上がることがある。喫煙、飲みすぎ、過度の運動も腎臓に負担をかける。血糖、血圧のコントロールは薬物治療でも重要となる。
学校検尿や健康診断などで、腎臓の健康状態はかなり把握されるようになってきた。糖尿病、高血圧、動脈硬化といった生活習慣病を防ぐことが、腎臓病の予防になることもはっきりしている。それでも、新たに人工透析治療が必要な患者数は増えている。
「自覚症状がないのに、自己管理をすることは確かに難しい。しかし腎臓は1度壊れたら治りにくいことを再確認してもらいたい。腎臓に関心を持つことが早期発見にもつながります」と富野教授は訴える。
【ジャーナリスト 小野隆司】
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