【第40回】
細胞の酸化変性が万病のもとに
酸化ストレス度1
人の体は約60兆個の細胞で構成されているが、その細胞は酸化変性(酸化ストレス)に弱い。酸化変性とは、正常な細胞の分子が活性酸素など安定していない分子を持つ物質によって電子を奪われ、逆に安定しない状態になることを指す。
「端的な例が鉄です。酸素によってさびるとボロボロの状態になる。これが酸化変性です。細胞の化学変化を調べると、ほとんどすべての病気で細胞が酸化変性されることが直接のきっかけになっていることが分かってきたのです」。そう説明するのは、京都府立医科大の吉川敏一教授。吉川教授はビタミンなどによる活性酸素・フリーラジカル消去機能と疾病の予防研究で知られ、日本抗加齢医学会の副理事長も務めている。
病気は細菌やウイルスの侵入、遺伝子異常、生活環境などさまざまな原因で起こるが、細胞の酸化変性をいかに抑えるかが病気治療・予防のカギともいえる。実際、狭心症や心筋梗塞(こうそく)患者には、血流の途絶え(虚血)から血流の再開(再かん流)に伴う活性酸素による障害を防ぐため、抗酸化作用のあるビタミンEを投与するようになっている。脳梗塞治療でも抗酸化効果を持つ薬が使われている。
細胞の酸化変性こそ万病のもとといえるが、生物にはこれを防ぐ抗酸化システムも備わっている。SOD、カタラーゼなどの抗酸化酵素や体内に取り入れられたビタミン類、ポリフェノール類などの抗酸化物質が酸化変性を防いでいる。
活性酸素などによる酸化力と生体内の抗酸化システムの働き具合の差が、酸化ストレス度といえる。酸化力が上回ったとき、病気の危険性が高まる。「とくに生活習慣病には要注意。生活習慣病になることで、酸化ストレスがさらに増幅されることが分かってきています」と吉川教授。
いったい自分がどれほどの酸化ストレスに見舞われているのか。酸化ストレス度を測る方法は次回で。
【ジャーナリスト 小野隆司】
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