【第43回】
酒飲まなくても肝硬変になる
肝機能異常1
人間ドッグの全国集計をみると「異常あり」と判定される頻度が1番高いのは肝機能異常である。01年の統計では26・6%。特に男性は35・5%と3人に1人は何らかの異常値が出ている。会社などの健康診断でも、悪い数値が多く出るワースト3に高脂血症、高血圧と並んで肝機能異常は必ず入っている。
日本肝臓学会の評議員を務める杉本元信・東邦大医学部教授は「健診などで異常値が表れる1番の原因は脂肪肝。主に中性脂肪が肝細胞に過剰にたまる病気です。もともと肝臓は少量の脂肪を蓄えているのですが、その量が増え過ぎると問題となるのです」という。
脂肪量が肝臓の全重量の5%(通常は2〜3%)を超えると、脂肪肝と診断される。肝臓のおよそ30%以上の細胞に脂肪がたまった状態に相当する。脂肪肝をもたらす原因は食べ過ぎ、飲み過ぎ、肥満、糖尿病など。いってみれば生活習慣で起こる肝臓病である。
肝臓は沈黙の臓器といわれるほど、病気になっても自覚症状が出にくい。脂肪肝もほとんどの場合、自覚症状がない。生活を改善すると3か月ほどで治る病気なのだが「放置していると肝硬変にまで進むタイプがあることが分かってきました」と杉本教授は注意を呼びかける。
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH=ナッシュ)と呼ばれるもので、80年ごろに初めて報告された病気。酒を全く飲まなくてもアルコール性肝障害と同様な状態になり、10〜15年で肝硬変になる危険性が高い。肥満女性に多いという特徴もある。肝細胞に脂肪がたまっているだけの状態なら、それほど急激な炎症は起こらないが、セカンド・ヒット(もう1つの要因)が加わると発症する。
「肥満などでインスリンの働きが弱くなることも、発症に関係していると考えられています。脂肪肝になるような生活は、高脂血症や糖尿病など生活習慣病を招くリスクが高いことも自覚して欲しいですね」と杉本教授は警鐘を鳴らす。
【ジャーナリスト 小野隆司】
|