【第46回】
遺伝でなく環境が要因
アレルギー疾患1
アレルギー疾患が増えている。厚生労働省の保健福祉動向調査では、約3人に1人が何らかのアレルギー症状を発症し、都内の80%を超える家庭でアレルギー症状のある人が家族にいるとの回答が寄せられている。まさに新しい国民病。他人事ではなくなっている。
アレルギー体質という言葉があるように、従来、アレルギー疾患は遺伝要因から考えられることが多かった。しかし「近年の増加ぶりは、遺伝要因では説明できません。環境要因が影響しているといっていいでしょう」というのが、奥平博一・東大医学部講師だ。免疫学・アレルギー学が専門分野で、東大病院アレルギー・リウマチ内科でも臨床治療にあたっている。
アレルギー疾患は、免疫機能が起こす病気。体を守るためにできる抗体が、過剰な反応を引き起こすきっかけとなる。「スギ花粉症は、IgE抗体と呼ばれるものが肥満細胞を刺激し、そこからかゆみや炎症を起こすヒスタミンなどの物質が出ることが直接の原因になります。しかし、好酸球と呼ばれる免疫細胞も、鼻粘膜の壁をいためる働きのある酵素などを出し、さらに症状を悪化させることも最近の研究で分かってきました」(奥平講師)。
アレル(ギリシャ語でおかしなとの意味)+エルグ(働き)を語源とするアレルギーは、体を守る免疫機能がおかしな働きをする病気ということである。
花粉症、アトピー性皮膚炎、気管支ぜんそくが現代日本の3大アレルギー疾患になっているが、急増する理由と考えられる環境要因も実はよく分かっていない。食生活(とくに脂肪分摂取)住宅(ダニが発生しやすい)大気汚染(IgE抗体を作りやすくなる)ストレス(悪化原因)など、さまざまな要因が指摘されるが、決定的な解明はなされていない。
「予防法が確立していないだけに、どのように治療するかが重要な問題になります。抗体を作るアレルゲンを特定できないことも珍しくありません。患者さん自身が治療の内容をよく知ることが大切です」と奥平講師。
【ジャーナリスト 小野隆司】
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