【第51回】
3Cで心の健康保とうよ
うつ病3
精神科医の大野裕・慶応大学健康管理センター教授は、心の健康を取り戻すキーワードとして3つのCを挙げる。Cognition(認知)Control(コントロール感覚)Communication(コミュニケーション)だ。
考え方を柔軟にする認知とともにコントロール感覚は、心身の健康を大きく左右する。「仕事でも何でも、自分でコントロールしている意識がないと問題に対処できなくなります。問題が解決できないと自信がなくなり、ますますコントロール感覚を失うという悪循環に陥ります。まずコントロール感覚を取り戻すことが、うつ病でも改善法になります」と大野教授。
コントロール感覚を取り戻す方法としては、悩んでいる問題について解決の道筋をはっきりさせることも意味がある。(1)自分が今、何に悩んでいるのか(2)解決法として何があるか(3)それぞれの解決法のよしあしは(4)最良のものを実行(5)実行した結果はどうか、など段階的に問題に取り組んでみるのである。
「解決すれば自信がついてきますし、解決しなければもう一度考え直します。自分のしていることの意味を明確にすることで、コントロール感覚は戻ってきます」と大野教授はいう。思い切って休養を取る、日常生活で楽しみの時間を作り出す、睡眠のリズムを整えるなどを実行することも、コントロール感覚を取り戻す助けになる。仕事上の悩みなら上司や同僚に相談することが良策になる。
3つ目のCであるコミュニケーションが心身の健康に重要であることは、よく知られている。相互依存的な対人関係が重視される日本ではなおさらだ。対人関係が苦手な人がうつ病になりやすい環境にあるといっていいかもしれない。大野教授は人付き合いが楽になるヒントを挙げる。「自分をもっと認める」「他人のことをもっと認める」「完ぺきな人間関係はない」「意見の食い違いを恐れない」「言いづらいこともしっかりと伝える」「思い切って自分流を捨てる」「困ってもよい」などだ。
うつ病は社会状況が関係する病気。大野教授は最後に社会全体でのサポートも訴える。
【ジャーナリスト 小野隆司】
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