【第52回】
短期間の体重減は水分抜けただけ
肥満ダイエット1
肥満はさまざまな合併症を起こす。各種の疫学調査から糖尿病や高血圧は4〜5倍、心臓病で3倍、高脂血症で6倍、脂肪肝では7倍も、肥満でない人と比べて多いと推定されている。がんでも乳がん、胆のうがん、大腸がんは2倍ほど多い。体重が負担となる腰痛やヒザ痛にいたっては18〜20倍も肥満者の方が多い。
日本肥満学会の評議員を務める大野誠・日本体育大学大学院教授は「肥満はいろいろな生活習慣病の温床になります。20〜30代から肥満の予防や解消につながる生活習慣を身につけることが、きわめて重要といえます」と指摘する。
肥満の判定には、ボディー・マス・インデックス(BMI)が使われる。体重(キロ)を身長(メートル)の2乗で割って求める。日本肥満学会の基準は、BMI25以上を肥満としている。つまり身長170センチなら73キロ以上は肥満。普通は18・5以上25未満。18・5未満は低体重(やせ)と判定する。
「日本人は栄養素を効率よく体脂肪としてたくわえることに役立つ、倹約遺伝子と呼ばれる遺伝子をたくさん持つ人が多い。そのため、欧米人より軽度の肥満でも糖尿病などになりやすいことも明らかになってきている」と大野教授。そこでダイエットが問題になってくる。肥満予防および解消に役立つ健全なダイエットが大切である。短期間ではダイエットできないことも、常識として知っておく必要がある。
人の体重は水分が50〜60%を占めている。短期間での体重減少は、体から水分が抜けただけと思って間違いない。飢餓に備えるエネルギー源として蓄積される体脂肪が減る(燃焼する)のは後になってからだ。
大野教授は「Diat(ダイエット)という言葉は英国では議会の意味でも使いますが、語源は政策とか方針ということです。ですから本来の意味のダイエットとは、短期間で無理やり体重を減らすことでなく、人生の方針(生活習慣)を見直して、太りにくいライフスタイルをつくりあげていくことなのです」と指摘する。
【ジャーナリスト 小野隆司】
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